マニフェストを読もう
「マニフェスト」というコトバがある。あることを知ったのは、1年ぐらい前のことである。最初、「マニフェスト」って何だろうと思った。そこで調べてみると、「選挙公約」のことであった。であるのならばイタリア語っぽい「マニフェスト」というコトバをなぜ使うのか。日本語で「選挙公約」でいいじゃあないかと思ったが、とりあえず「マニフェスト」について考えてみたい。
自民党は、今回の選挙において、そもそもなにについて、どう主張しているのであろうか。新聞やテレビの選挙報道ではよくわからないことが多い。そこでとにかく、まず自民党のホームページをじっくり読んでみようと思った。ようするに、そもそも、各政党は何を言っているのか。これが選挙における基本中の基本であろう。それでは、もっかの政権政党である自民党(正確には公明党とペアになって政権政党になれたわけであるが、ここでは公明党の存在はとりあえず外す)は、どのようなマニフェストを挙げているのであろうか。
自民党のホームページを見て、まず目についたのは「政府税調のサラリーマン増税ありきを「許さない!」」というものだ。許すもなにも、あんたんとこの政府の税調でしょうと思うが。とにかく「武部幹事長 政府税調を強く批判」と書いてある。しかし、では、実際の税制をどうするのかということについては、「本格スタートは秋以降」だそうだ。ようするに、何も考えていないということなのだ。実質的な税制の内容をなにも考えていないで、なぜ政府税調を批判できるのか。つまりは、選挙対策だなということがよくわかるのである。
「自民党からの120の約束」について言えば、従来から言われているような項目ばかりで、まーこれ全部やるのならそりゃ結構なことですねとしか言いようがない。しかしながら、「小さな政府」を標榜しながら、あれもこれも自民党はやるというのはなんだかなあと思う。
郵政民営化について「早わかり郵政民営化」を読んでも、全然、なぜ今郵政改革なのかわからない。もちろん、郵政それ自体に数多くの問題があることはわかる。それを改革しようというのは、まことに結構なことである。しかしながら、今のこの国において、なぜ郵政の民営化がこれほど優先されなくてはならないのか。そこの部分の説明がないのである。本来、どうであるべきか。今、我が国の直面する課題は、コレとコレとコレである、その中でまずコレをこうやり、次にアレをこうやり、最終的にはこの国はこうなりますという説明が必要であろう。そうしたものがないということは、大局的ビジョンも戦略もないということだ。小泉純一郎氏個人が課題としてきた郵政の民営化をやりたいとしか見えない。
ある意味において、衆議院選挙をここまで私的に利用する小泉純一郎という人物はタダモノではないとも言える。今回の選挙の争点が、もし郵政の民営化であるのならば、選挙民に問われていることは、郵政の民営化を支持しますか、しませんか、ではなく、今の日本国にとっての優先的かつ緊急的な課題とは、郵政の民営化だと思いますか、思いませんか、ということであろう。
国民からすれば、ある時突然ふって湧いてきたような「郵政民営化」について、お前はこれを支持するのか、しないのかと選挙をふっかけられたようになってしまった。そしてなんだかよくわからないまま、投票日はやってくる。新聞を読んでも、テレビを見てもよくわからない。誰のための総選挙なのか。僕たち国民のための総選挙であるはずだ。だからこそ、マニフェストを読んでみよう。僕たちと、政治家の接点は文章であり言葉なのである。マニフェストについて、自分はどう考えるか。賛成か、反対か。選挙は、ここから始まる。
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民主党のマニフェストとやらはいかがでしたか?
Posted by: neko | August 28, 2005 01:00 AM
民主党のマニフェストについても近日中に書きますので少々お待ち下さい。
Posted by: 真魚 | August 29, 2005 01:01 AM
増税についてのコメントありがとうございました。私も自民党の政権公約を読みましたが、肝心要の部分になると小学生の将来の夢の様にあやふやな言い回しになってますね。何が悲しいかというと、こういうことを全てうっちゃって付き合いでとか、他に頼りになりそうな政党がいないからという理由で、日本の将来を安易に任せてしまってる(任せてしまってきた)国民性なのかなとも思います。まだまだ、書き足りないですが、それは次の機会に。
Posted by: オフィスHAL | August 29, 2005 09:54 PM