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July 10, 2005

ロンドンの同時爆破テロ

 7日にロンドンで起きた同時爆破テロ事件について考えてみたい。今回の事件の反抗グループは、アルカイダ系のイスラム過激派グループであると言われている。しかし、確たる根拠も証拠もなく、結局誰が犯人なのか、いかなる目的で爆破事件を起こしたのかということはまだよくわかっていない。反抗声明はあったようだ。「欧州アルカイダ機構秘密組織」なる組織がイスラム系ウェブサイトで犯行声明を出したという。これもまた真偽は不明である。

 もしかりに、このイスラム過激派による犯行であったとしよう。爆破は「イラクとアフガニスタンでの虐殺に対する報復」だというが、今の英米に対して、こうしたことは犯行理由として十分すぎることで、むしろ犯行理由としての信憑性と説得力に欠ける。例えば、「イギリス陸軍が、イラクで何年何月何日にどこどこ地域で住民を虐殺した。そのことについて我々は怒りを感じ、今回の爆破事件を起こした」というような、当事者しか知り得ないような事柄についての報復であるというのなら信憑性は高い。しかし、そうであるのならば報復の相手はイギリス陸軍であって、ロンドンの朝の通勤の地下鉄やバスに乗っている市民ではない。英米への報復と言えば、何でもできると思っていないだろうか。

 さらに声明にあったという「全ての十字軍政府」という言葉の「十字軍」であるが、なにゆえこの歴史を持ちだしてくるのかよくわからない。確かに、十字軍はキリスト教諸国から見れば正義の戦いであったが、イスラム側から見れば侵略と虐殺以外の何者でもなかった。では、だからといって、キリスト教諸国こそ悪であると言いたいのであろうか。イスラム教徒は、キリスト教徒に十字軍の恨みがあるとでもいうのだろうか。

 しかしながら、もともと7世紀に、それまでキリスト教国であったシリア、パレスティナ、エジプト、北アフリカを征服したのはイスラムであった。さらに、8世紀に北アフリカから進軍したイスラム軍は、スペインとポルトガルを侵略し、フランスに侵入した。9世紀にはシチリアを征服し、オスティアとローマを略奪した。かつて、イスラムは世界の大文明であった。彼らは、長い間にわたって当時蛮族と呼ばれていたヨーロッパ人を奴隷にし搾取してきたのである。恨みがあるというのならば、むしろヨーロッパ人の方がイスラムに対して恨みがあるといってもいいであろう。森に住む蛮族が、後にヨーロッパと呼ばれる社会を作っていくきっかけを作ったのは、イスラムからの自己防衛であったとも考えることができる。

 つまり、過去の歴史を現在の殺戮の理由にすることは不毛であり、なんの正当性も立証しない。歴史の中では誰もが、ある時は被害者であり、またある時は加害者なのだ。イスラム過激派が「十字軍云々」というのは、過去の時代のあるひとつの出来事を使って、自己の行為の正当化をしているにすぎない。

 もし歴史を持ちだしてくるのならば、問うべきことは以下のことであろう。かつて人類の文明の最先端にいたイスラムが、21世紀の今日、なにゆえテロなどという姑息な手段で、一般市民を無差別に殺戮するのであろうか。イスラムは、古代ギリシアとローマ、ペルシャの知識と技術を継承し、そこに新たに重要な革新を加えた。例えば、インドで発生した数学は、中近東のイスラムで大きく発展した。今日の我々が使用している数字は、それに敬意を表しアラビア数字と呼ぶ。蛮族ヨーロッパから見て、イスラムこそ世界の中心であった。ヨーロッパは、イスラムから人文学と自然科学を学んだ。イスラムなくして、近代ヨーロッパはありえず、近代ヨーロッパなくして、近代世界システムはありえず、そして現代文明もない。そう考えてみれば、人類の文明史の中でイスラムが占める位置は大きかったのである。

 その栄光のイスラムの末裔が、なぜこれほど愚かしいことをやっているのか。テロだとか、殺し合いとかをチマチマやっていないで、自分たちの国を富ませ、国力を高め、強い軍隊を作り、外交と軍事と経済で欧米に対抗しうる国を作ろうとなぜ思わないのだろうか。このことについて、「欧州アルカイダ機構秘密組織」なる組織は一体どう考えているのであろうか。聞いてみたいものだ。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

真魚さん、

細かいことを話し合えば、きっと考えに相違はあると思うのですが(思考経路が違いますからね)、この記事で仰っていることには心から同感です。

>その栄光のイスラムの末裔が、なぜこれほど愚かしいことをやっているのか。テロだとか、殺し合いとかをチマチマやっていないで、自分たちの国を富ませ、国力を高め、強い軍隊を作り、外交と軍事と経済で欧米に対抗しうる国を作ろうとなぜ思わないのだろうか。<

TBを送らせていただきました。

Posted by: kaku | July 10, 2005 10:48 AM

追伸

私のblogにコメントを寄せてくださっている桃組工房さんのblogで、共感した真魚さんのコメントを以下の場所で引用させていただきました・・・事後承諾で申し訳無いのですが、何か問題がある場合はご連絡下さい。

http://momogumi52.exblog.jp/1218392

Posted by: kaku | July 10, 2005 10:59 AM

以前から感じていたのですが、今や理念や政治力学以上に「好き嫌い」の感情が重大になりつつあります。だから、相手に合理的思考を押し付けても何ら解決はしません。

好き嫌いの感情で事態が動くのは厄介ですが、これはイスラム過激派だけでなく、中韓の反日運動、EUの憲法否決にも大きな影響を与えています。

実は、このことをこちらのブログで書いたのですが、投稿した本人がしんどいほど長い記事なので、読む人はもっとしんどいと思います。

Posted by: 舎 亜歴 | July 10, 2005 02:38 PM

イスラム悪玉論、善玉論、どちらも因果関係と、彼らもまた人であるという当たり前の事実を軽視しがちな点においてはあんまり違いがないですよね。
イスラム文明のある時期までの先進性は事実としてあるわけですが、それを強調し過ぎる人たちは、おそらくヨーロッパ文明が先進的であるという前提があったうえで、言っているように感じています。
ヨーロッパとの対比ではなく、イスラムだけを取り出せば、その歴史においても習俗においても決して薔薇色ばかりではなかったのは、これはいずこの文明も同じですが、イスラムもまたそうであって、そうした負の側面を軽視し過ぎて、ヨーロッパを批判する文脈のみにおいてイスラムを無批判なものとして扱うのは、抵抗があります。
イスラムに対する偏見、そこから派生した偏った言論が流布しているのも多分、事実としてあるんで、それに対する戦術的な防御としてイスラムのダークサイドには敢えて言及しないという人たちもいるのでしょう。

ただし、イスラムには幾つもの矛盾があるとしても、国際的なテロリズムを育む土壌となっているのは、それだけが原因ではなく、パレスチナ問題がせっせと炉に石炭をくべている面があるのは、やはり無視できないとは思いますが。

Posted by: standpoint1989 | July 10, 2005 10:13 PM

kakuさん、

どうぞ、どうぞかまいません。

これは日本の来た道であるのは確かです。しかし富国し強兵したのはいいんですが、その結末は昭和20年の8月15日です。その意味では、日本も愚かしいことをやってきたんです。「愚かしいこと」などと言うとまたkakuさんからお叱りを受けそうですが。(笑)

Posted by: 真魚 | July 11, 2005 02:14 AM

standpoint1989さん、お久しぶりです

ブログを再開されたようですね。私もそのうち書き込みさせていただきます。

上記の私の記事は、テロリストが歴史を語るのならば、こちらも歴史を語りましょうというものです。実質的な今のアラブの政治的感情は、かつての英仏植民地主義による支配、イスラエルの建国、そしてイスラエルを支持するアメリカの政策に対する怒りだと思います。しかしながら、もう一方でイスラム社会に内在する様々な社会問題もあるのも事実であり、そうした問題に対してイスラム社会の市民レベルで解決していこうという姿勢なくして、ただ「イスラムは平和の宗教である」「イスラムはテロを容認しない」と言ってもなんの意味もありません。

だからイスラムは劣っているのだという認識は間違っていますが、イスラムはなぜヨーロッパに遅れをとったのかという視点が、なによりもイスラムの知識人の中から生まれてこないかぎりダメだと思います。かつてモンゴルに支配され、オスマントルコに支配され、英仏に支配され、アメリカに支配され、そしてイスラエル建国とシオニズムによるアラブの分割などといった外的要因にその原因を見出すことは簡単ですが、そうした外的要因を踏まえると共に、イスラムの衰退の内的要因を歴史的に考えていく作業が必要なのではないかと思います。

実は、standpoint1989さんならご存じだと思いますが、上記の話はサイードとバーナード・ルイスの有名な論争に負っています。そして、生前のサイードはこの問題を直視しなかったし、バーナード・ルイスもまた明確に回答していません。おそらく、この問題こそ今後の中近東の歴史学と文明論の課題なのではないかと思います。

もとより、私にはそうした問題について考察できる力はないので、まあ、山内昌之先生の本を読むしかないのですが。

Posted by: 真魚 | July 11, 2005 02:20 AM

kakuさん、

ホントはですね、僕はイスラムって嫌いじゃあないんですよ。

昔、(あの当時はソ連領だった)ウズベクスタンとサマルカンドを旅したことがあります。この地域はトルキスタンといいます。トルキスタンの大地に立つというのが、あの時の僕の夢でした。玄奘三蔵は、この道を通ってインドへ行きました。サマルカンドは今はもう廃墟のような街ですが、かつて文明の交差点であり、中央アジアに燦然と輝く都でした。グル・エミール廟の前に座って、自分はついにここまでやってきたなあと思ったことを今でも覚えています。あとですね、イスタンプールにも旅したことがあります。全盛期のイスラム文明の華麗さは、近代ヨーロッパ文明以上ですよ。そのイスラムが今日かくもこうした姿になってテロリストの国みたく思われるのは忍び難いですね。

Posted by: 真魚 | July 11, 2005 03:06 AM

真魚さん、

またまたー、細かいことを言い出すと細かい議論になるのでやめとこうよぅってばさ。

どの戦争も愚かで悲惨、それは後世の人間から見たら誰でもわかる当たり前の評価でしょ。私は国家の戦争の善悪を断ずるのと別に、命を落とした兵士を「心の中で」だけでない慰霊するのは当然、と言っているんですよ、犠牲になった民間人と同じ様に、ね。

先の戦争を美化する典型的な靖国信奉者、とレッテルをお張りになりたいのでしょうが(その方が話が進めやすいもんね)、一応抗弁しておかないとー。

それから私もイスラムの教え自体は嫌いじゃないんですよ。ただ、イスラム系の人々となぜかいつも話がかみ合わないだけで。「やい、なんで国内では被ってる黒いマントを米国では脱いでんねん」「あらあ、あれはアッラーの威光が届かぬ場所では効力が無くなるのよん」っておいおい・・・

Posted by: kaku | July 11, 2005 09:02 AM

<<自分たちの国を富ませ、国力を高め、強い軍隊を作り、外交と軍事と経済で欧米に対抗しうる国を作ろうとなぜ思わないのだろうか>>

それは今過激イスラム指導者が支持者に伝えているメッセージが真魚さんが”当然”と思っている形での対抗の仕方と全く異なっているからではないでしょうか?

少数の人が多数の人をコントロールする。国内、イスラム圏そして他の国々もコントロールしようとしている。

他の国と対抗すると言う考えは無いのでは?過激イスラムに殉ずるか滅ぼされるかを選択肢としているのでは?

MikeRossTky

Posted by: マイク | July 11, 2005 04:49 PM

kakuさん、

僕が言っているのは戦争は悲惨だという当たり前のことではありません。昭和の軍人はあまりにも愚かしかったと言いたいのです。これは後の時代だからそんなことが言えるのだということではありません。彼らはあの時代の欧米の軍事知識から見て常識であったものを全然知らなかったではないですか。村一番の神童で成績優秀だったから陸軍幼年学校へ行って、士官学校へ行って、その上位成績優秀者が陸軍大学へ行き、そのさらに上位卒業者が参謀本部勤めの参謀になります。彼らは自らをエリートと称し、彼ら以外の師団や連隊勤務の参謀をバカにしまくっていました。その彼らがですよ。二言目には大和魂だとか、神州不滅だと言って、合理的思考なんてまったく持っていなかったではないですが。彼らは専門職である軍人という専門家ではなく、まるで日本国教のカルト信者であったではないですか。イスラム過激派と同じです。

靖国神社について言えば、蒸し返すつもりはありませんが、あの神社の教義によれば追悼ではなく顕彰になるんです。簡単に言えば、安らかにお眠り下さいではなく、国家と天皇のために戦死したことは名誉ある行為であり、それを称賛しほめたたえる場所です。それを戦後の日本も公式に続けるわけにはいきません。

Posted by: 真魚 | July 12, 2005 01:39 AM

Mike,

イスラム過激派もそうでしょうし、アラブ諸国の王族もそうでしょう。王族は石油でカネが入ればそれでいいと思っているんでしょうから。

Posted by: 真魚 | July 12, 2005 01:40 AM

真魚さん、

色々な事を知っているのはすごいのですが、どんどん主張が変わるし立ち位置変えて話されるので時として私メ、議論についてイケマセン。竜頭蛇尾ならぬ竜頭魚尾、みたいな。

>簡単に言えば、安らかにお眠り下さいではなく、国家と天皇のために戦死したことは名誉ある行為であり、それを称賛しほめたたえる場所です。それを戦後の日本も公式に続けるわけにはいきません。<

いつの間にか靖国神社徹底否定論者になってしまわれたのね・・・私のせいかしらん。2005年4月26日までは:

政治家が参拝するのは、遺族会への政治的パフォーマンスであって、別に国家神道を信仰しているわけではありません。

かりに国家権力と癒着しているように見えても、それは一時的なものです。あの戦争の記憶が完全に風化すれば、そうしたものは力を持ちません。

と高らかに仰っていたのにね・・・そのうちテロについても米国はもっと真剣に乗り出すべきだ!とご批判なさるようになられるでしょうか。小さな政府論の時のように、ね。


Posted by: kaku | July 12, 2005 09:27 AM

ああ、そうだ言い忘れてましたが、私が言った「来た道」とは、太平洋戦敗戦後の日本のことですよ。

Posted by: kaku | July 12, 2005 10:14 AM

真魚さん、

イスラム世界がどうして遅れてしまったか?これまでも科学技術の先進文明を誇った国や民族は他にもありました。中国は紙、羅針盤、火薬などを発明しました。しかし近代社会の先駆けにはなれませんでした。結局、技術や知識だけでは近代化はおぼつきません。プロテスタンティズムの倫理観のような精神的な基盤が必要です。

今のイスラム諸国には豊かな国も多いですが、石油収入にあぐらをかいているだけです。そうした精神的な退廃に立ち向かったのがケマル・アタチュルクのトルコやパーレビ王朝のイランでした。

いまだに石油以外に何の産業も振興できない、だが国民の能力が劣るわけではない。これは深刻な問題の一つです。


standpoint1989さん、

パレスチナ問題を過大重視しています。TBしたかったのですが、妥当な記事がありませんでした。私のブログで「中東の諸問題と日本人の誤解」を閲覧してみてください。

Posted by: 舎 亜歴 | July 13, 2005 01:17 AM

kakuさん

靖国神社徹底否定論者になっていません。「政治家が参拝するのは、遺族会への政治的パフォーマンスであって、別に国家神道を信仰しているわけではありません」と思っています。今の日本で誰が国家神道についていくというのですか(一部の人は除くけど)。靖国神社は、時がたてば歴史の彼方に消えていきます。

「それを戦後の日本も公式に続けるわけにはいきません。」とあくまでも公式だと今まで何度も書いてきました。アジア諸国は「「政治家が参拝するのは、戦後の日本も国家神道を信仰している」と解釈する。その解釈は彼らから見れば間違いではないと論じてきています。では、どう行動すべきかを僕は論じています。

これに対して、kakuさんはあくまでも日本人としての個人的視点で論じているので話が噛み合っていないことはわかっていましたが、まー自分の考えを整理する意味でいいかなと思い、kakuさんと延々と話を続けているわけです(おいおい)

自分で言うのもなんですが、靖国神社徹底否定論者が毎年靖国神社へ行くはずないではないですか。靖国神社とは別の宗教色を廃した慰霊施設を作ることは反対です。靖国神社で当然ではないですか。靖国神社以外のなにを作るというのですか。

自分は気分として昭和の軍人の考えていたことがよくわかるんです。それは自分の中のどこかに似たようなものがあるからなのかもしれません。(多分、robitaさんは僕の「本性」を見抜いていると思います。)日本の近代の良かったことも悪かったこともひっくるめて全部学んでいこうと思います。自分たちの国の歴史ではありませんか。

よっしゃあ、じゃあ、そのうち遊就館へ行って、いかに日本の兵隊さんは立派であったか、お子さんに説明しましょう(この前と言っていることがちがーう)。「えー、陛下から賜わった軍人勅喩にはこう書いています。ひとつ、軍人は忠節を尽くすを本分とすべし!!」「バブバブ」

Posted by: 真魚 | July 13, 2005 02:40 AM

真魚さん、

>国家が国家の命によって召集し、その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊するのは国家の義務であり、当然のことです。<

この言葉と

>「それを戦後の日本も公式に続けるわけにはいきません。」

この言葉が矛盾していると感じる私は間違っているのでしょうか。

>アジア諸国は「「政治家が参拝するのは、戦後の日本も国家神道を信仰している」と解釈する。その解釈は彼らから見れば間違いではない

と日本が思うのであるならば、国家として公式に参拝するべきではない、と言うのが直球な私の思考です。立ち位置がぶれれば価値観の異なる相手との議論は出来ませんよ。

あの戦争で死んだ日本の兵隊さんが立派であった・・・などと教えんで下さい。いいですか、私の親族は死ぬまで「立派に死ねと言って送り出した」ことを悔やんで、毎年靖国で慟哭したのですよ。

「パッパマンマ、ウーン、ダダダッダ、アーアー、アッキンチュ!」

喃語訳:赤子の成長は早いんだい、見損なうない、「バブー」だなんて、とっくにクリアーしたわい!

Posted by: kaku | July 13, 2005 10:03 AM

舎さん、

>いまだに石油以外に何の産業も振興できない、だが国民の能力が劣るわけではない。これは深刻な問題の一つです。

バランスの良い直球ど真ん中的ご意見!こういうの、「スキ!」の一言です。

Posted by: kaku | July 13, 2005 10:08 AM

kakuさん、

うーむ、説明が足りないでしょうか。何度も文章の中で書いていますが。そうですね、これも自分の不徳と致すところです。

では、複雑なことはすっとばして簡単に説明します。

「国家が国家の命によって召集し、その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊するのは国家の義務であり、当然のことです。」

というのは、戦前であろうと戦後であろうと、国家の義務であり当然のことです。

で、

「それを戦後の日本も公式に続けるわけにはいきません。」の指示語の「それ」とは、「国家が国家の命によって召集し、その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊するのは国家の義務であり、当然のことです。」を差すのではなく、「その戦争で亡くなった人々を国家の宗教である国家神道によって国家が慰霊する」ということを差しています。

つまり、

国家が国家の命によって召集し、その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊するのは国家の義務であり、当然のことである。

というのが前提にあって、戦前では「国家神道による戦死者の慰霊」が「国家の義務」であったということです。「それを戦後の日本も公式に続けるわけにはいきません。」と申しているのです。

そして、そんなことは当たり前ではないか、誰も平成の今そんなことを考えていないというのは正しいんです。何度も言いますが、今の日本のどこに天皇陛下のために死ぬという価値観が通りますか。

しかしながら、アジア諸国は「日本政府はまだにあの戦争を賛美している」と解釈するんです。そう解釈するなといっても、解釈しちゃうんだからしょうがないです。その解釈は彼らから見れば正しいのだと申しているんです。

なぜそう解釈されてしまうのか、それは

国家が国家の命によって召集し、その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊するのは国家の義務であり、当然のことである。

ということを戦後60年間の日本では正面から考えることをしてこなかったからです。何度も言いますが、戦前では国家神道による英霊の慰霊であった。では、戦後の日本はどうなのかというのがないんですよ。憲法上、日本は戦争はしないんですから、考える必要もないとしてきたのでしょう。ないから、総理がいわゆるA級戦犯合祀をしている靖国神社に公式参拝すると、アジア諸国は「日本人はまだ国家神道を信仰しているのか」ということになってしまうんです。つまり、根本的問題は、戦後日本のナショナルアイデンティティとは一体なんなのかが、60年たった今でも明確になっていないからなんです。

Posted by: 真魚 | July 14, 2005 01:13 AM

真魚さん、

国家が国家の命によって召集し、その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊するのは国家の義務であり、当然

「国家神道による戦死者の慰霊」が「国家の義務」であったが、それ(=国家神道による戦死者の慰霊)を戦後の日本も公式に続けるわけにはいかない

ええ、はい、それで?私も何度も伺っているんですよ、だ・か・ら?どうせよ、と?

真魚さんはその「国家神道方式による慰霊」=靖国神社への“公式”参拝、は止めるべき、なんですよね。

だけど、それに代替する兵士の慰霊施設は作る必要は無い、と。

それでどのようにして真魚さんの仰る「その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊する義務」を果たすんですか、と聞いているんですよ。

それと同時に、靖国(招魂社)創建の目的であった、維新時に命を落とした人々、つまり、直近の戦没者以外の慰霊施設と言う性質はどうなるんですか、と。

まさかその答えが例の「首相のTシャツ短パン麦わら帽子による靖国参拝」ではないですよね・・・

私の見解が「日本人としての個人的見解」との事ですが、それ以外にどんな見解を述べられると言うのでしょうか?

真魚さんは先のコメントの最後で、ナショナルアイデンティティーの欠落、と言うことで国民全体のせいにして話を収めていらっしゃるようですが(リベラルらしいっちゃーリベラルらしいですが)、そもそもそれを作っていくのは個々人の見解の積み上げ、でしょう。

私はどんなことでも、なるべく実体験を通じた視点を己に課すようにしています。だからアーリントンでもアリゾナ記念館でも南京虐殺記念館でも香港、シンガポールの戦争記念館でもベトナムの対米戦記念館でも、居心地悪い思いをしつつ訪れてきました。テロに対しての反応もそうでしたが、他人事の視点で物事を裁いてみせる残酷さが、現在の日本で強すぎるからです。

「慰霊」は、そもそも栄光の戦争だとか悪魔の社殿だとかだからダメ、と言うものではないでしょう。

靖国で手を合わせている人の大部分が、国家神道に命を捧げさせられた人の遺族である訳です。そのことを一番悔やんで責めているのは靖国英霊の遺族自身でしょう。だから慟哭しながら手を合わせるんではないですか。毎年8/15にわざわざ観察しに行かれているのだから分かるでしょう。

それが真魚さんの仰る遊就館等の展示により、諸外国の誤解を招く、と言うのであれば、そこを修正すべき、もしくは代替する慰霊施設を、と主張するのが普通の筋であって、なぜ「参拝をやめよ」となるのですか、と真魚さんの個人的見解を私は繰り返し聞いているのですよ。

なぜかと言うと「中韓がうるそうてめんどくさいからもうやめてまえ」と言う感覚が国民にあるのではないか、と危惧しているからです。それこそ、亡国まっしぐら、でしょう。

Posted by: kaku | July 14, 2005 11:59 AM

Kaku-san

私は毎年初詣は靖国神社にいってます。御霊まつりにも何回か。確か土曜日までおこなわれていますよね。

戦争の理由はさておいて、どこの国の人であれ、戦争で亡くなった方々のほとんどは国のために戦って亡くなったんです。その人達には罪はない、また有ったとしても命を持って償いを行ったと思うべきですよね。

一国の主が靖国神社やその他日本各地にあるVeteran Cemetaryやそのような場所に行かない方がおかしいとおもいます。

7000万人もの人の命を奪った毛沢東を祭る中国が靖国神社についてなにか言うのはおかしい。韓国も自分の親戚を毎日殺している北にたいして援助を行ったり言い訳を聞き入れている現在を見て、どうやって日本の過去について大声で話せるのかわかりません。

今の日本は平和を愛する国民であることを証明していると。マイノリティーは馬鹿な事を言っているかも知れないが、それは言論の自由の枠の中。中国・韓国ではまだその言論の自由はない。

MikeRossTky

Posted by: マイク | July 14, 2005 11:50 PM

この記事はロンドンのテロに関するものなのに。いつの間にか靖国論争になってしまいました。ちょうど。robitaさんが靖国について書いています。そちらにどんどんコメントしましょう。

どこの神社に行くか、何色の国旗を掲げるか・・・それもさることながら、戦後の日本の国のあり方が考えられてこなかったのは問題です。これについては、近いうちにブログ記事を書くつもりです。

ところで本題に戻ります。何ともこちらのブログで

>マドラサ(イスラム神学校)でコーランの暗唱を中心とした教育を受けている。だが古典アラビア語で書かれた内容が中途半端に理解されてしまえば、過激派の思想に容易に染め上げられてしまう。アラビア語を母国語としないパキスタン人やアフガン人ともなれば、そうした傾向はさらに強まるであろう。<

と書いていたのと呼応するかのように、犯人はパキスタン系とか。

今サミット前に英国外務英連邦省のサイトでG8に関する記事を閲覧した際に、テロが議題に挙がっていなかったことを意外に思っていました。それがこのような事件で不安を的中させるとは予想外でした。

何か偶然に私の懸念や記述と合致したからと言っても、私は予測屋ではありません。念のため。

Posted by: 舎 亜歴 | July 15, 2005 12:24 AM

kakuさん、

>>それでどのようにして真魚さんの仰る「その戦争で亡くなった人々を国家が慰霊する義務」を果たすんですか、と聞いているんですよ。<<

これについては先日robitaさんのところで書いたではないですか。本居宣長の「敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花」と。戦後の日本は、辺り一面の桜の園で、それだけで十分だと思いたいというのが僕の個人的意見です。戦前の日本は靖国神社、戦後の日本は桜がいいのではないでしょうか。陸自のマークも桜ですし。千鳥ヶ淵の桜は数が少ないから、もっとたくさん広げましょう。

そして、「戦前の日本」に対して、戦後の我々は誰もが後世の者たちであり、糾弾だけすることも、また賛美だけすることもなく、正しかったことも間違っていたこともその双方を(中韓がどうのこうの言うからではなく、日本人として)ありのままに受けとめましょう。

「首相のTシャツ短パン麦わら帽子による靖国参拝」でも悪くないと思うのだけどなあ(ボソッ)。

Posted by: 真魚 | July 15, 2005 01:48 AM

マイクさん、

ことVeteran Cemetaryに関しては、マイノリティは私の方かも。ブログ上で公表した私の意見を、一番良く理解してくださったのはマイクさんが初めてですから。

「肩アト」、いよいよ読み始めましたよ。この連休中、赤子をダンナに託して集中して読破します!!感想文、お楽しみに?!


真魚さん、

桜ね・・・なぜだか世界のどこにいても、日本を想いおこさせる花であることは確かですね。

いつか必ず、一緒に靖国へ行きましょうね。そして遊就館で喧々諤々しましょうぞ。

個人的には小泉首相は8/15にこだわらず、7月に行われる御霊祭に行けばいいのに、と思ってます。遺族の多くは、ゲテモノ系が集結する8/15は避ける様です。やっぱり静かに慰霊したいもんね。

Posted by: kaku | July 15, 2005 09:31 AM

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