映画「クレヨンしんちゃん」を見る
映画「クレヨンしんちゃん」シリーズの『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』を見た。
ここでショージキに言ってしまうと、「クレヨンしんちゃんだろ」と思っていた。映画「クレヨンしんちゃん」シリーズの『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』は、「クレしん」と言えども、その内容はすごくイイ、絶対に見るべきという声があることは知っていた。知ってはいたが、なにしろ「クレしん」なので、ふーん、そうなのって思っていた。そして先日、某所で「クレしん」映画の最高傑作作品は、『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』であるということを聞いて、あーそうなのかぁと思っていた。でも「クレしん」だろと内心思っていたのである。「クレヨンしんちゃん」はマンガは何度か読んだことがあるし、テレビも何回か見たことがある。別に嫌いではないけど、とりあえず、ああした番組であるわけで。
しかしまあ、それほどいいって言うのならば、じゃあ、ちょっくら見てみようかと、今日、近所のTSUTAYAで『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』と『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』の2作品を借りて見てみた。
最初に『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』を見た。確かに、おもしろくていい作品だった。1970年代のノスタルジアがうまく描かれていたと思う。そういえば、あの頃はこんなものがあったなと思うシーンがいくつもあった。20世紀の昭和の方が「心」があったというのはよくわかる。
というわけで、じゃあ次と『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』を見た。「クレヨンしんちゃん」だよねと思ってカルイ気持ちで見始めた。
しかし、だ。ところが、だ。これは良かった。ものすごく良かった。もう「これは良かった」というのを256回繰り返したい程、これは良かった。
基本的な話は、しんのすけ一家が戦国時代にタイムスリップする話であるが、これほど時代考証がしっかりした時代劇映画を見たのは初めてだったと思う。まるで、これはもう日本史の戦国時代の資料映像アニメと言ってもいいぐらい、かなり時代考証にこだわっていることがよくわかる。絵の雰囲気が、もう「クレしん」ではない。しんちゃんの姿が、背景と合わないぐらい違うのだ。戦国時代の世界観を見事に再現している。物語の流れや台詞の良さ、殺陣の巧さなども良かった。それでいて、いつもの「クレしん」のギャクやお笑いもある。この作品を「クレしん」だと思って、今まで知ることがなかったことを深く後悔した。それぐらい、いい作品だった。
城主の娘簾姫は、家臣の又兵衛を想っている。戦場では鬼と呼ばれる程の歴戦の戦士であるが、女性には奥手の又兵衛もまた簾姫を想っている。しかし、2人の身分はあまりにも違いすぎる。この簾姫と又兵衛の清い恋物語を軸に、なぜか戦国時代にやってきた、しんのすけのドタバタギャクが満載なのであるが、その一方で、自分の信じる忠義に従い、戦場での戦いに生きる実直で無骨な侍である又兵衛の生き方が描かれている。簾姫もまた、自分の信じるものに正直でありたいという生き方をする。
あの最後のシーンの展開は、まさかああなるとは、思ってもみなかった。あのシーン、最初はなにが起きたのかよくわからなかった。戦いの不条理さ。「こんなに人を好きになることは、もう二度とないと思う」と簾姫はしんのすけに語る。そして、最後に現代に戻ったしんちゃんが空を見上げ「おじさんの旗だ」と言うシーンの次に、簾姫が空を流れる雲に向かって「おい、青空侍」と呼びかける声でエンディングになる。この声を聞いた時、泣いてしまった。この声は、悲観や落胆した声なのではない。あくまでも凛とした、青い空に似合うような声なのだ。だからこそ、失ったものの悲しみの大きさを感じる。簾姫は、その後どのような人生を送ったのだろう。かつて人は、こうして淡々と、しかし深く美しく生きていたのだと思うことができるいい作品だった。
「クレヨンしんちゃん」、侮り難し。
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» Musical Baton [ドイケンブログ 妄]
オイオイまた音楽ネタ書かなきゃいけねえのかよ俺は文学少年だから正直音楽は嫌いなんだよ風呂に防水のCDプレイヤーがあるぐらい嫌いなんだよトイレに小さいMDプレイヤーがあるぐらいきかねんだよそれに俺のところには絶対に来ないと思ってたのになー面倒くせーからというか他ブログと... [Read More]
こんばんは。お久しぶりです。
今頃なに言ってるんですか!映画版のクレヨンしんちゃんは、名作ぞろい!
うちなんか、全部見てますよ。ビデオ借りて。
やはり
『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』
『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』
『ブタのひづめ大作戦』
あたりが名作。
新しいところでは
「嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」
もいいですよ!
Posted by: BigBan | June 07, 2005 02:07 AM
BigBanさん、こんばんわ
そうですね。今さらなにを、という感があります。
反省しております。
原恵一という監督はタダものではありませんね。宮崎駿よりも、この人の方を
もっと注目すべきですね。
他の作品を見てみようと思います。
うーむ、「しんちゃん」映画がこんなに奥が深いものであったとは。
Posted by: 真魚 | June 08, 2005 12:47 AM
真魚さん、こんにちわ。
「オトナ帝国の逆襲」は何年か前にテレビで見て、ホロリとしました。
それ以外は見ていないのです。いつか見なければ。
Posted by: robita | June 08, 2005 11:07 AM
obitaさん
「オトナ帝国の逆襲」は、robitaさんの世代には懐かしいのではないでしょうか。平成の今は、10年、20年後には、「あの時代には心があった」と言われるようになるかどうかですね。
『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』は名作です。泣けます。
ぜひご覧になって下さい。
Posted by: 真魚 | June 09, 2005 11:27 AM
実は。
宮崎駿は、東映の「白蛇伝」を見てアニメーターを志しましたが、その作品にスタッフとして参加されてたのが、シンエイ動画の設立者である楠部大吉郎氏であり、氏は宮崎駿のアニメの先生でもあります。
そして、宮崎氏は、まだAプロと名乗っていたころのシンエイ動画にも在籍なさってました。
Posted by: 通りすがり | September 30, 2005 03:16 PM
「太陽の王子」を作っていた頃のことでしょうか。
宮崎さんは「クレヨンしんちゃん」を知っていると思うのですが、「クレヨンしんちゃん」についてなにか語ったたり書いたりしていないようですね。
Posted by: 真魚 | October 03, 2005 01:19 AM