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April 21, 2005

「ネバダレポート」というものがある

 「ネバダレポート」(Nevada Economic Report)というものがあるということを最近知った。金融関係では、知る人ぞ知る結構有名なレポートであるようだ。以前、ここでも書いたアメリカ政府による「年次改革要望書」のようなものだと考えることができるかもしれない。

 「ネバダレポート」とは、2001年9月に日本の投資会社を通して一部の官僚や政治家に渡り、そして瞬く間に霞ヶ関に広まった出所不明の報告書である。IMF(国際通貨基金)調査官と日本の官僚らの合作と言われていて、日本の国家財政が破綻し、IMFの管理下におかれた時、どのようにIMFが日本の財政を管理し、立て直しを行っていくか、そのアクション・プログラムが書かれているものである。この報告書は、衆議院の第154回国会予算委員会で取り上げられた。

 どのような内容のものか。衆議院の第154回国会予算委員会10号平成14年2月14日の議事録によると、以下のような内容である。

 日本の国家財政が破綻し、IMFの管理下に置かれると、

(1)公務員の総数、給料は三〇%以上カット、及びボーナスは例外なくすべてカット。
(2)公務員の退職金は一切認めない、一〇〇%カット。
(3)年金は一律三〇%カット。
(4)国債の利払いは五年から十年間停止。
(5)消費税を二〇%に引き上げる。
(6)課税最低限を引き下げ、年収百万円以上から徴税を行う。
(7)資産税を導入し、不動産に対しては公示価格の五%を課税。債券、社債については五から一五%の課税。
(8)預金については一律ペイオフを実施し、第二段階として、預金を三〇%から四〇%カットする。

ということになる、ということだ。ようするに、最悪の場合、日本の財政はこうなるというIMFのシナリオである。簡単に言うと、外資が日本の金融を支配するということである。

 この「ネバダレポート」なるものの信憑性は、疑わしいものであるようだ。本当に、IMFが作成したのかどうか謎であるという。しかしながら、「ネバダレポート」が偽文書であろうがなかろうが、日本の財政が現状のままで続くのならば、この国は本当にIMFの管理下に置かれる可能性は高い。平成14年からこうしたことを言われていて、未だになにも改革が行われていないということは、もはや改革する意思はないものと思われるのではないか。

 今でもこそ公務員に就職すれば、一生安泰だと思われているが、上記のようなことが実際に起こるとなると、公務員は給料は大幅に減り、ボーナスはカット、さらに退職金はないという悪夢の事態になることになる。よって、官僚は(1)から(3)は、絶対にやりたくないであろうから、つまり、今(3)以下を行おうとしているとも考えることができる。(3)以下は、国民全体の負担にすることができるからだ。財政破綻の危機は、国民の支払いによってなんとか脱したい、というのが今の官僚のホンネなのであろう。

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Comments

大変、興味深いブログ文なのにコメントなしは寂しいです。実際に同レポートの改革が行なわれるようになれば、(1)~(3)にも手をつけざるを得ないでしょう。ただ、日本の官僚機構は自分達の権益保護にかけては極めて狡猾なので、ありとあらゆる手を使って骨抜きにしようとするとは思います。

そういう狡猾さを他で生かしてくれないものでしょうか?人さらいの国や反日感情(これも参加者が本心から抱いているのか疑わしいのですが)を利用する国と対峙する際に。

ところで、「深夜のニュース」と英文ブログはお休みですか?次を期待して待っています。私のブログはやっと本格始動です。

マスコミは、財政赤字が今現在いくらいくらあるとしか報道しません。であるのならば、これは一体どういうことなのか考えようという方向にはもっていきません。国の借金とよく言いますが、国の借金であるということは、国民個人の、自分の借金というわけではないんだなということで、国民の側もいまひとつピンとこないのだと思います。

ブログの更新が滞っておりまして、申し訳ありません。今週はせっぱつまった仕事がありまして。来週になれば、もう少しラクになれるのではないかと思っております。私の英文ブログももう少し書いて、ここで皆様にお知らせしようかなと思っております。なにやら、仕事のしまくりで、働けど働けど我が暮らし・・・じっと手を見る次第であります。

Nevada Economic Report って、「IMFに近い筋」が書いたものでもなんでもなく、コレクターズジャパン(本文で日本の投資会社、といわれているもの?)の人が書いたものなんじゃないの?
希少金貨販売のPR誌でしょ。

なんちゃましましさん、


「ネバダレポート」の出所は謎になっています。もちろん、しかるべきスジではないと思います。しかし、出所云々というより、可能性としてこうした未来もありうるということは考える価値はあります。

nevada economic reportでググれば掲載元は余裕ででてくるじゃん
出所不明じゃないよ
実際このレポートも話題になる前に俺見ているもん
サイト運営者がどこからこの情報を見つけてきたのかは分からないけど新聞の隅から隅までよく読んでいるなあと思う。
はっとくよ
ttp://www.collectors-japan.com/nevada/

情報ありがとうございます。

2001年に霞ヶ関に出回ったというもの(あるいは平成14年2月14日に衆議院議員予算委員会で取り上げられた)いわゆる「ネバダリポート」と呼ばれるものがコレクターズ・ジャパン株式会社の報告であったかどうか、実際のところどうなのかわかりません。違うものであるような気はしますが。

今更ながらネバダレポートを辿ってきました。
未来はともかく現状で日本の財政は大丈夫そうなのですが・・・
アメリカの財政次第では可能性はなくもないようですね。
極端なレポートの内容ではあるのですが、無視するわけにはいかないという思いもします。
ドルを守りたい勢力とドルをつぶしたい勢力が存在すると思うのですが、このレポートはいったい何を投げかけているのか?
気になります。。。

検索マニアさん、

この国の経済は全然大丈夫ではありません。日本の財政は先進国で最悪の状態にあります。

日経によると以下の通りです。(https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H41_Q7A510C1EE8000/)

「財務省は10日、2017年3月末時点の国債や借入金、政府短期証券を合わせた国の借金の残高が過去最高の1071兆5594億円だったと発表した。16年12月末に比べ5兆1360億円増えた。借金が増えるのは5四半期連続。

 17年4月1日時点の総務省の人口推計(1億2679万人、概算値)で単純計算すると、国民1人当たり845万円の借金を背負っている。」

私がブログにネバダレポートのことを書いたのは2005年ですが、その当時からこの国の経済はよくなるどころか、ますます破綻に向かって進んでいます。ただでさえこの国の経済は低迷し続けてきましたが、これからは少子化の影響が本格的に始まりますのでさらに低迷します。

この国の経済政策は、カンバンの名前だけは変えて、中身はひと昔もふた昔も前の昭和の高度成長時代のカネをバラ撒けば市場の流動性は高り、消費者は消費するようになり、企業は設備投資に資金を回し景気がどんどん良くなるみたいなやり方のままです。

今のそのカンバンの名前がアベノミクスです。アベノミクスとは、日本政府がこれまで何度も何度も繰り返してきた、まったく成果が出ないバカの一つ覚えの政策なのです。

こんな巨額の債務を将来、返済することは不可能です。そもそもこの借金を返すのは政治家でも官僚でもない、私たち勤労者ですが、少子高齢化で日本の勤労者は毎年30万~50万人ずつ減っています。負債は増える一方で、返済できる人はどんどん減っているのです。まともに返済できるわけがありません。

この世界最大の日本の国家債務を担保しているのが、国民が保有している1800兆円の個人金融資産です。私がこの時ブログに書いたように、国は「財政破綻の危機は、国民の支払いによってなんとか脱したい」としているのです。それは2005年であっても2017年の今も変わっていません。

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