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March 17, 2005

米国産牛肉輸入問題をもう一度考える

 アメリカの次期駐日大使のトーマス・シーファー氏は、米上院外交委員会で行われた指名承認のための公聴会で米国産牛肉の輸入再開や、在日米軍の再編・再配置問題について日本に圧力をかける姿勢を見せたという。

 米国産牛肉については、以前、このブログでも書いたが、その通りの進展になってきた。ちなみに、全米牧畜業者牛肉協会(NCBA)のウェブを見てみると、the Farm and Foreign Agricultural ServiceのJ.B. Penn氏が今年の2月に開催されたthe NCBA Executive Committee via conferenceの席上で、"Japan was key to resuming trade with other Asian markets.” As Japan goes, so goes some of the other markets in the region,"と語ったという。日本市場はアジア市場への貿易を行う上でのキーであり、日本でうまくいけば、他のアジア諸国でもうまくいくのだと言っている。この時期におよんでも、なおかつこうしたことしか議題にならないのは、日本への牛肉輸出はすぐに再開されるものだと考えているからであろう。

 しかしながら、事態がここまで政治問題化してしまった今日、ここで日本側が牛肉輸出を再開するとなると、どのような「科学的」根拠があろうとも、アメリカに屈したということになるであろう。食品の安全性という意味で言えば、牛肉に限らず、他の食品もまた安全というわけではなく、それはアメリカも日本も変わりはない。つまり、どの程度までのリスクならば許容できるかということである。日本人側からすれば、米国産の牛肉を食べなくてはならない理由はない。そこをアメリカ産の牛肉を「食べてもらう」ようにしていくのが商売のイロハであろう。以前ここでも書いたが、アメリカの業者でも個別に見れば良心的に検査をやっているところもあるはずだ。日本の流通・販売業者は、そうした親身な牧畜業者と密接な関係を持ち、アメリカ牛肉の販売促進を進め、地道にアメリカ産牛肉の安全性を日本の消費者に説明していくということができるはずだ。なぜか国家間の政治問題になっているから、話が全然進まないのである。

 日本側は買いたくないと言っているわけではない。また、科学的な厳密性云々の話ではない。ようは、日本の消費者が納得できるカタチで提供してくれと言っているだけなのだ。日本人の商慣習には「誠意」というものがある。しかしながら、この「誠意」を理解しようとしないのが全米牧畜業者牛肉協会であり、今の共和党政権なのである。

 それにしても、日本赤十字社は、たとえ一ヶ月以上でもイギリスに滞在した人は献血をお断りさせていただきますと言っている。その一方で、もし米国産牛肉がこのままでなんとなく輸入再開ということになった場合、あまりにも矛盾するように思えるのだが。

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Comments

日本の商習慣の「誠意」って、北朝鮮のアサリを国産と呼ぶことで消費者を安心させる真心のことですよね。だから、米国産牛肉も、国産とか豪州産とかって言って消費者を安心させて売ればいいだろうって言ってるんじゃないですかね。それが「誠意」ってものでしょうから。

「なぜか」政治問題になっているって言いますが、米国産牛肉の輸入が国によって禁止されているからですよ。輸入が許されているのに米国産牛肉がまったく売れない、というのとは意味が違うのです。

そういうわけで、私は、さっさと輸入を再開して、しかし、どこ産かが分からない牛肉は食わない方向に国民を誘導していくのがいいと思います。そうすれば、米国産でも安全なのだと米国が日本国民に証明する必要がでて、政治問題から市場の問題にできる。文句を言われても、自由市場ですからと言い返せる。

まあ、日本の「誠意」あふれる市場では、きっと米国産も豪州産と言って売られることになるので、この作戦は使えないんですけれどね。

そもそもは、全頭検査するまでは絶対に輸入再開はしない、米国だけを特別扱いはしない、の一点張りで続ければよかったのです。全頭検査してもないのに輸入再開するなんて約束をするから早くしろって話になっているのです。日本政府の自業自得ですね。

共和党が心底憎いのは結構ですけど、袈裟にまで文句を言っている姿は滑稽です。だいたい、こんなことは民主党でもまったく同じ結果だったかも知れません。そんなことはないって言える根拠がありますかね。日本を経済制裁で追い込んで先の戦争に持ち込んだのは民主党の大統領でしたけれど、共和党の大統領だったら原爆を十個くらい落とされてただろうって言えますかね。

私は、そういう問題じゃないだろって思いますけどね。

民主党支持者は共和党支持者よりも知能指数が高いのでしょうから、知的な批判を期待していますよ。

Posted by: nh | March 19, 2005 at 08:46 PM

真魚さん、

<<それにしても、日本赤十字社は、たとえ一ヶ月以上でもイギリスに滞在した人は献血をお断りさせていただきますと言っている。その一方で、もし米国産牛肉がこのままでなんとなく輸入再開ということになった場合、あまりにも矛盾するように思えるのだが。>>

そして

<<日本の消費者が納得できるカタチで提供してくれと言っているだけなのだ。>>

輸入禁止前の米国牛肉使ってを先日吉野家は牛丼を一日復活。もし全頭検査が今必要としているのなら、なぜ輸入前の牛肉の販売、購入、食する事が日本ではOKなんでしょうか?

<<日本人の商慣習には「誠意」というものがある。しかしながら、この「誠意」を理解しようとしないのが全米牧畜業者牛肉協会であり、今の共和党政権なのである。>>

NHさんが言うとおり、問題は共和党政権ではなく、政治家です。もし、民主党が政権を握っていたら、牧畜が盛んな州の票を集めるために動いているでしょう。全米牧畜業者牛肉協会は牧畜業者の立場から文言を。日本の外務省・農林水産省は牛肉の輸入再開には反対していない。でも厚生省が反対。日本国内でも官僚が誰の立場に立っているかで判断を。

でも、民主党支持者は共和党支持者より知能指数が高いかどうかは...

マイク

Posted by: マイク | March 19, 2005 at 09:14 PM

nhさん、

誠意というのはそういうものではありません。それはごまかしです。

私が言う誠意というのは、日本人が全頭検査をしてくれと言っているということに対して、どうしても全頭検査はできないというのならば、その理由はなにか日本人が納得できるように説明して欲しい、そして全頭検査はできない変わりに、我々はここまで一生懸命牛の検査をやっていますという態度を見せて欲しいということです。そうであって初めて日本側は本来は全頭検査をして欲しいと思っているが、そうしたことならばタテマエ上は全頭検査になっているが、ここはあなたを信頼して取引に応じましょう、というのが商慣習であると私は思います。もちろん、そうであっても米国産牛肉のラベルは貼りますよ。ビジネスで必要なのは、双方の信頼に基づく誠意です。これは国際的なビジネスでも同様です。アメリカの牛肉業者がこうした当たり前のことをやっていれば、政府頼みにすることはなかったではないですか。

アメリカの牛肉業者は対話する相手を間違えています。相手が日本国政府だと思っているから、こっちもワシントンの連邦政府を通して圧力をかけるという発想しか浮かばないんです。自分たちの顧客は誰なのか。誰に牛肉を売っているのか。それは日本のバイヤーであり、日本の消費者なんです。これらの人々と直接にもっと語りかける必要があるんです。朝日新聞に広告をちらっと出すだけでは不十分です。

もう一方で、アメリカ国内の消費者の安全性だってある。とかく大手の牛肉業者はなにかと問題が指摘されています。従って、アメリカ政府のやるべきことは、消費者にアメリカ人も日本人もない、そもそもアメリカ牛肉の安全性をどう考えているのか。危険性の指摘はでているわけですから、これに答える必要があります。アメリカ側がそうした動きを見せてくれれば、日本政府だって動けるわけです。まあ、実際のところ、今日もライスは「絶対安全だ」みたいなことを言ったわけで、全然進展にならないわけですが。

第二次世界大戦に参戦したのは民主党だからというわけではありません。あの時代、共和党はそれほど大きな政治団体ではありませんでした。良くも悪くも「アメリカの意思」のようなものです。現在のそれはレーガン、ブッシュ(親)、そして今のブッシュという共和党に受け継がれています。クリントン政権時代に、日米関係がここまでこじれましたか。彼らは、もっと別の方法で狡猾に日本を管理していました。

Posted by: 真魚 | March 20, 2005 at 01:50 AM

Mike,

保守思想なら、アメリカの牛肉だろうと、どの国の牛肉だろうと、自由に市場に流せばいいと。そして個人の自由と責任で消費者は買えばいいと。それでなにかあっても、それは個人の自己責任なのだと。国や業者には責任はありませんと。それが自由なのだと。

社会は成り立ちませんね。

Posted by: 真魚 | March 20, 2005 at 01:51 AM

真魚さん、

輸入禁止前の牛肉の消費がOKって事は日本の行政は”個人の自己責任”であると言っているのではないでしょうか?明日輸入されるものと、吉野家が日本中からかき集めた過去の輸入されたものとの違いはなんですか?

日本の社会は成り立ていないのでしょうか?

日本に輸入される牛肉に対して”全頭検査”を要求すればいいのでは?特に吉野家の場合自分の牛を育てるオペレーションをアメリカで行っているらしいですから...


マイク

Posted by: マイク | March 20, 2005 at 07:30 AM

マイクさん

>日本に輸入される牛肉に対して”全頭検査”を要求すればいいのでは?
それはすでに現地の日本向け食肉業者が導入の動きを見せたはずです。
しかし、日本にだけ全頭検査をすると、結果的にすべてに全頭検査をすることになるから認めないという圧力を受けてなくなったはずです。

単純なことです、アメリカは自分の国の肉がどのような理由であれ売れれば良いだけなんです。
検査にコストをかけたくないから政治的圧力をかけてきているんです。
逆に日本やカナダの牛肉は輸入したくないから禁止しているんです。

Posted by: 暗夜迷路 | March 29, 2005 at 03:02 PM

暗夜迷路、

確かに、”業者団体”は売れれば良いの姿勢で対応かもしれません。

しかし、科学的に見るのならば、アメリカ国内でアメリカの牛肉を食べてヤコブ病になった人はいたのでしょうか?という問いに答える必要があるのでは?

http://www.cfsan.fda.gov/~comm/bsefaq.htmlを見る限り、2003年12月に初めてBSEの牛がアメリカで確認された。この牛は元々カナダから来た牛。

日本国内では16頭確認されている。

リスクに応じた対応は?

マイク

Posted by: マイク | March 29, 2005 at 09:53 PM

追伸、

http://kaikin.jp/index.php

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050329-00000213-kyodo-soci

国際安全基準にはアメリカは対応できるようですね...

マイク

Posted by: マイク | March 29, 2005 at 10:31 PM

Mike,

Mad Cows and Americans
http://www.inthesetimes.com/site/main/article/1874/

U.S. Continues to Violate World Health Organization Guidelines for BSE
http://www.organicconsumers.org/madcow/greger12304.cfm

US Meat Plants Violating Mad Cow Rules
http://www.planetark.com/dailynewsstory.cfm/newsid/28650/story.htm

So, we don't trust US government.

Posted by: 真魚 | March 30, 2005 at 02:21 AM

Osamu,

I looked at two of the three articles above. (The second URL does not work...) Neither of the articles are "factual". The third one is strange since the "union" of the inspectors are saying that their members are not doing their job.

If Japan will allow consumption of beef already in Japan prior to the ban, then it can not claim that the beef is dangerous to consume.

No single case of disease have been reported in the US.

I'm not asking you to trust the "US Government". I'm asking you to trust science.

If there are 16 mad cow cases in Japan, how do you trust domestic beef supply? Do you trust the Japanese Government that is run by the LDP and Government Officials?

MikeRossTky

Posted by: マイク | March 30, 2005 at 08:15 AM

Mike,

<<No single case of disease have been reported in the US.>>

Is there any guarantee that they have reported all cases?

<<I'm not asking you to trust the "US Government". I'm asking you to trust science.>>

Do you say "Trust "science" that cannot recognize the cow that is after birth 20 months"? And I wana say American consumers are not the subjects of an experiment of the safety of U.S. beef. It's not science. It's political perversion of a word "science".

Posted by: 真魚 | March 31, 2005 at 12:45 AM

Osamu,


<

Is there any guarantee that all is reported in Japan? Is there any guarantee that food stores in Japan are selling food as "labeled"?

Why do Liberals look for "guarantees" in life and "science" when it to their benefit? What guarantee is there that Kyoto will bring about change in global warming, for example?

MikeRossTky

Posted by: マイク | March 31, 2005 at 07:53 AM

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