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February 07, 2005

一般教書演説はComic operaである

 ブッシュが2月2日に議会で行った2期目の一般教書演説を、ネットで改めて見てみると、どうもいらついてくる。なんかこー、怒りがこみ上げてくるのである。

 "Tonight, with a healthy, growing economy, with more Americans going back to work, "なんて聴くと、こいつは何を言っているのかと思う。アメリカ経済は問題が山盛りではないか。足下はもう崩れているだろう。"Four years of debate is enough. I urge Congress to pass legislation that makes America more secure and less dependent on foreign energy."といっても、ますます外国の石油に頼るようになっているではないか。テロと戦うとか、安全のためといいながら、ビン・ラディンの居場所すらわからないのであるが、そういうことには触れないのである。中近東の民主化がなにゆえ合衆国市民の安全になるのか、そのへんの明確な説明もない。

 だいたいそもそも、なにゆえ、アメリカの若者が地球の反対側の見知らぬ国の「民主化」とやらのために死ななくてはならないのか。その理由について、具体的に述べよ、ただし、"terrorists"とか"freedom"とか"democracy"とか"security"という観念語は一言も使わずに述べよと言ったら、ブッシュはなんと答えるであろうか。"freedom"とか"security"と言えば、なんでもできると思っているのではないだろうか。これは、アメリカの建国の理念でもなんでもない、21世紀の新しいファシズムである。

 北朝鮮については"We're working closely with the governments in Asia to convince North Korea to abandon its nuclear ambitions."としか言わず(で、どうするんだ)、中国についてはなにも語らないのはなぜか。つまり、ブッシュ政権は中近東にしか関心がないのである。なぜ、中近東なのか。そこに石油があることは、もはや誰にでもわかる常識であろう。

 "One of Iraq's leading democracy and human rights advocates is Safia Taleb al-Suhail. She says of her country, 'We were occupied for 35 years by Saddam Hussein. That was the real occupation. Thank you to the American people who paid the cost, but most of all to the soldiers.' "を聞いた時、これはまるで、半世紀前の日本人のようだと思った。戦前の日本は、軍部に占領されていたという。そして、戦争中は鬼畜と呼んでいたアメリカに、日本人は終戦後「ありがとう、マッカーサー元帥」と言った。しかしながら、GHQが日本を占領していたことには変わりはなく、この時期、GHQがいかにアコギなことを影でやってきたかということは、例えば松本清張の本を読むまでもないだろう。同様に、今のイラクもまたアメリカの占領状態であり、影でアメリカ占領軍はそうとうのアコギなことをやっているであろう。もちろん、それが悪いというわけではない。戦争に負けるというのは、そうしたことなのだ。終戦後の日本人にとって、いかに進駐軍と良好な関係を保つがが最大の課題であった。戦後日本の成功者の中には、進駐軍と影で取引をしつつ商売や政治活動をしてきた者も少なくはない。そもそも、日本経済そのものが、朝鮮戦争の軍需により復興したことを考えると、いかに進駐軍と良い関係を保つことが利益につながることであったかがわかるだろう。今、イラクで起きていることはまさにそのことなのである。

 おもしろいのは、ブッシュが、私はコレコレのことをやりました、あるいは、議会と共にこれからやろうとしていますと言うと、議員たちはそのつど(そのつど、なのだ!)立ち上がって拍手をしたり、賞賛の声を上げたりするのである。こんなワシントンDCの建物の中で集まってなにを騒いでいるのか、この人たちはと思う。この一般教書演説で語られるものは、ただ単に共和党の大統領が議会で言いたいことを言っているだけとしか見えない。そして、それを民主党も含めて議会の議員も拍手したり、歓声をあげたりしているだけだ。つまり、この一般教書演説なるのものは、実際的な意味を持っていないのである。いわば大統領が議会にやってきて、「本年度はこうした方針でやろうと思っているので、よろしく」と言っているだけなのであろう。するとこれはショーなのかと思う。ショーだとしたら、すいぶんバカバカしいものだと思う。こうしたことをやっているから、ワシントンの政治っていうのは、どんどん現場から離れていくのだなと思う。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

Earth to 真魚さん、 Earth to 真魚さん、 応答せよ!

マイク

Posted by: マイク | February 07, 2005 at 01:05 PM

Mike,

hallo, hallo, this is MAO.
I'd like to say that 宇宙から地球を見ると国境は見えません。共和党の自国中心主義がいかに愚かしいことかよくわかります。


Posted by: 真魚 | February 08, 2005 at 02:40 AM

真魚さん、

<<共和党の自国中心主義

ブッシュがこのスピーチで語った”自由”は自国中心なのでしょうか?今自国中心なのは民主党なのでは?

マイク

Posted by: マイク | February 08, 2005 at 05:44 AM

<<宇宙から地球を見ると国境は見えません。

たしか、”自由”に国境がある。民主主義は”アラブの人達には押し付けられない”と言ってアメリカが自由を広めるのは間違いと言っていたのは真魚さんじゃなかった?

マイク

Posted by: マイク | February 08, 2005 at 07:29 AM

Mike,

"My fellow citizens of the world, ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man."
John F. Kennedy, Inaugural Address. 1961

JFKは、アメリカの自由を世界に押しつけることはなかった。アメリカがやるのではなく、人類全体が共に人類の自由を追求すべきだと説いた。

Posted by: 真魚 | February 10, 2005 at 12:30 AM

真魚さん、

”自由”, Freedom, Libertyってアメリカ版があるのですか?どのように他の自由とアメリカ版の自由を見分ければよいのでしょうか? たとえば、アフガニスタンでの”自由”はどうアメリカ版になっているのでしょうか?

マイク

Posted by: マイク | February 10, 2005 at 05:55 PM

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