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January 23, 2005

なぜか津波被害の報道が少ない

 さだまさしの「遙かなるクリスマス」は、ようするに個人の日常生活と、社会的な問題はどう関わるのかということなのだと思う。そのことを最近つくづく感じたのは、先日の1月17日の阪神大震災10年の日、僕が住む東京は、その日も別に他の日と変わることない、ごくフツーの1日だったということだ。

 もちろん、この日は日本国民全員が黙祷を捧げるべきであったとは、まったく思わない。しかしながら、それにしてもマスコミの報道は、あまりも関心がなかったように思える。このへんぶっちゃげた話、ホンネを言うと、我々は、他者の身の上に、どんな不幸や災難が降りかかろうとも、その不幸が自分の身に降りかかることがあるかもしれないとか、その出来事の意味を考えてみるとかいうことはないんだろうなと思う。

 それでいいのかというと、いやこれでよくはないなと思う。ただ、そうなると、では、なにに対して、どの程度考えろというのかというと、なんとも言えなくなる。なんとも言えなくなるが、だからといって何も考えなくていいとは思えない。じゃあ、どうしたらいいのかということで葛藤をしていくしかない。

 阪神大震災の時は、6000人が亡くなったわけであるが、6000人どころか、その比較にもならない程の厖大な数の人々が死んでしまったスマトラ沖地震による津波被害について、日本の報道はあまりにも無関心であるとしか思えない。この死者の数は、もはや戦争なみの数ではないか。この厖大な数の死に対して、なぜ日本人はこれほど無関心でありえるのか。なぜならば、それほどの出来事が起きたとは感じていないからだ。ではなぜ、そう感じていないのか。例えば、CNNは死体の映像を流すが、日本のメディアは、そうした映像をまず流さない。崩壊した建物や混乱した道路を映すだけだ。現地の被害の深刻さを、日本のメディアは巧みに曖昧にしている。よーするに、他人事なんだなと思う。上記の言葉で言えば、日本のマスコミには葛藤が感じられないのだ。

 津波の被害にあった日本人が、パスポートを再発行してもらおうと大使館へ行くと、この国の役人は渡航証明書を発行するための手数料が払えないと再発行はできないと言う。僕はインターネットでこれを知った時、これはよくわかると思った。外国の現地の大使館や領事館には、こうしたところがある。240億円を寄付すると言っていても、実際にやっていることは、津波の被害者に手数料2500円を払えと言うのがこの国なのである。

 外務省は、さすがにこれは非人情だと思ったのか、22日の報道によると、渡航証明書の発行は無料とすることになったという。これにしても、抗議をしたから変わったのであって、黙っていたらそのままカネを払うのが当然だとしていたであろう。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

タイの新聞でも、そろそろ4面、5面当たりに記事が落ちてきた「津波その後」ですので、このエントリに大変興味を持ちました。

偶然「里帰り」していたバンコクで津波災害を知り、元旦に空港ボランティアをしたり、知り合いがまだ行方不明ということもあり、かなり津波災害を身近に感じているもののひとりです。

各国の報道サイトを調べていくにつれ、日本の報道に疑問を持つようになりました。「瓦礫」と「涙」がキーワードのようですね。でも、疑問視しない読者や視聴者もいるのかもしれません。

ささやかながら、タイからの「津波その後」をずっと続けてきました。そこからTBを打ちたかったのですが、わたしのサーバはPing禁止ですので、コメントにいたしました。
http://gaby.e-nihongo.net/
http://gaby.e-nihongo.net/archives/cat_17.html 津波関連全エントリを含むカテゴリ

Posted by: がび | January 23, 2005 at 01:57 PM

がびさん、初めまして
ボランティアお疲れ様でした。

日本で津波に関して今日の夕方取り上げたのは
NHKが一番多かったかな?

がびさんのサイトで津波情報を
現場レベルで感じることができて、感謝しています。
他の日本語発信されているblogも探してみます。

「法務省と警察の対立」
日本なら、週刊誌が飛びつきそうな話題ですが
タイではどんな様子なのでしょうか?

真魚さん
>よーするに、他人事なんだなと思う。上記の言葉で言えば、日本のマスコミには葛藤が感じられないのだ。

ニュースを現場で伝える人間に葛藤がないとは
画面を見ていて私は感じません。
(家族を亡くした子にした非道な取材には、はらわた煮えたぎりましたが)
私自身はどうかというと、当然やはり他人事なんですよね。
当事者でもないし、同じアジアですが、訪れたことはないし。

だからといって、無関心ではありません。
募金もしていますし、日本国が人道的に協力することが
日本にとって最善な道だと考えます。

どんな報道をしようと、要は受け手しだい。

大事なのは、忘れないことです。
メディアには継続を願いたいです。

>黙っていたらそのままカネを払うのが当然だとしていたであろう。
役人とはそういったものですよ。善くも悪くも。
抗議があって見直された点は多少評価してあげたい。

Posted by: ルイージ | January 23, 2005 at 07:45 PM

がびさん、初めまして。コメントありがとうございました。

バンコクは、僕が最初に行った外国でした。格安チケットでインドへ行こうとしたので、便の都合でバンコクで一日滞在になりました。路上で買ってかじったスイカは美味しかったです。ホテルで友人に絵はがきを出そうとして、レストランのボーイの人に片言のタイ語で「切手はどこに売っていますか」と聞いた時、うれしそうに笑ったことを今でも覚えています。バンコクは懐かしいです。バンコクは、ある意味でバックパッカーの出入り口のような場所ですから、他人事のように思えません。今の僕にできることは、せいぜい支援金を送ることぐらいですが。

タイからの情報発信で現地のことがよくわかります。ありがとうございます。
現地では、日本人の死体処理の料金だけがなぜか高額になると聴いたのですが、本当でしょうか。

Posted by: 真魚 | January 24, 2005 at 12:16 AM

ルイージさん、


他人事なのだけど、無関心にはなれない、しかし、無関心ではないのだが、やはり他人事になってしまうというのが当然だと思います。僕も葛藤ということを書いています。報道の現場の人も葛藤はあると思います。東京の局が編集するのだと思います。日本人の関心なんて、こんなもんだろみたいな感覚で。今回の津波報道に限ったことではないですが。

大使館の対応を知った時は怒りがこみ上げてきました。元バックパッカーとして、大使館とか領事館はこうしたことを平気でやることをよく知っていますから。ようするに、そうした連中なんです、あの人々は。

Posted by: 真魚 | January 24, 2005 at 12:17 AM

<<日本の報道はあまりにも無関心であるとしか思えない。>>

グリーンピースが世界的に有名になったのは、普通の情報機関では集められない映像を作り、それをCNNなどに安価で提供したから。今回に被害の場合も、日本の報道機関が元々基盤が無いところでのニュース。日本の情報機関が大金を使って広範囲にわたる被害についての報道は難しいのでは?

海外のニュースでも観光客のビデオや写真がメイン。死体を見せる、見せないは文化的違いでは?ネット上では海上の残骸にまみれて、数百の死体が浮いている写真など探せばいくらでも見れます。

イラン・イラクでの地震でも沢山の人がなくなりましたが、ほとんど日本での報道はありませんでしたよね。

身近に感じる所じゃない限り、真魚さんが希望するほどの報道は難しいと。

Posted by: マイク | January 24, 2005 at 08:30 AM

報道について

「階層化する日本 その2」
で話がCO2の根拠、報道にずれてしまったので
こちらで

がびさんが、感情に訴える報道に疑問を呈していらっしゃいます。

私は、感情に訴えてもらいたい。

「ベスのひとりごと」というblogで
http://blog.goo.ne.jp/remb/e/d1c255df4e857fc4ed35f6619d89a379


・「情報源」の分析上の留意点について

『(情報源)

・・・環境問題では、政府・企業・科学者・NG0・NPO市民団体などの様々な「情報源」が、複雑な利害関係のネットワークの中に存在していることを意識しなければならない。近年は、真偽や是非はともかく、それぞれの立場に応じて各「情報源」が積極的、かつ戦略的にメディアを通して自らの立場をアピールする動きが目立っている。』


・科学・環境分野における特殊な問題点として

『(1)環境情報の意図的操作(環境情報のメディア・コントロール)
・・・「湾岸戦争」「アフガニスタン戦争」「イラク戦争」では、米軍による巧妙な戦況報道についてのメディア・コントロールが話題となっているが、環境情報についても、アメリカの石油業界が積極的に“環境問題についての情報操作”に取り組んでいるとされる。このため、ヨーロッパや日本と異なり、アメリカでは未だに“気候温暖化の問題”についての一般国民の合意形成ができていないようである。
・・・アメリカでは“地球温暖化”に懐疑的な科学者たちが多く、彼らは少なくとも50〜60社の石油関連企業から研究助成を受けている。しかも、彼らは『世界研究レポート』(World Climate Report)という地球温暖化に懐疑的な内容の報告書(News-letters)を作成し、全米のマスコミ機関へ定期的に届けている。
・・・また、地球温暖化に懐疑的な石油関連の業界団体が『Global Climate Coalition』という連携組織をつくって、地球温暖化に懐疑的な世論形成に向けて活動している。そして、現在のアメリカでは利害が対立する集団の間で、新聞・テレビ・インターネットなど各種のメディア上で世論を操作(メディア・コントロール)しつつ味方を増やすための激しい戦いが起こっている。このように『地球温暖化問題』は、今現在、アメリカ社会が直面する最大の課題の一つである。ブッシュ大統領が「京都議定書」を離脱した背景には、このようなアメリカの現実がある。』

確かに、感情論で終わっては行けないと思います。
より、客観的に見ることで
見えなかった物が見えてくることもあります。

しかし、公正・中立に冷静に報道をしようとすると
たとえまちがっていても権力・権威側の情報に信頼を寄せる傾向がある以上、
受け手が気を付けるという選択肢が一番健全ではないかと。

私が、がびさんの情報で一番関心を引いたのは
権力争いの外でボランティアの人々がいるという事実でした。

Posted by: ルイージ | January 24, 2005 at 10:23 AM

Mike,

今の映像技術ならリポーターが現地へ行って、そこで映像を撮り、そのままパソコンからネットで送ればそれでもう放送ができる。映像がダメなら電話でもリポートできる。CNNはそうしています。ようは局がなにを報道するのかという考え方である。

日本人は死体を見ないというのは日本文化ではない。太平洋戦争中の報道写真や原爆被害の調査で日本人が撮影したものにも死体は映っています。そもそも、日本の過去の絵巻物などには死体の描写は多い。日本人にとって死体は身近な存在だったと言えるでしょう。それがそうではなくなったのは50年ぐらい前からです。

Posted by: 真魚 | January 25, 2005 at 11:15 AM

客観性プラス情感がなくてはならないということは重要だと思います。共和党がアメリカ国民の支持を得るようになったのは、共和党は一般大衆向けにきめの細かいメディア戦略を行なったからです。アメリカ人というのは、日本人以上にメディアに操作される人々なんです。

共和党のやり方は、自分たちはまず「非権威側」なんだと言うわけです。で、露骨な政治的意図のある報道をするわけです。そうした共和党のあこぎなやり方を見て、危機感を感じたダン・ラザーとかがFOXもやっているだから、このくらい言ったっていいだろうと偏向した報道すると、当然ながらその手抜きを一般ブロガーが指摘するするわけです。で、天下のCBSがこんな悪いことをやりました、もはや権威なんて信用できません、やっぱり一般大衆の方が正しいと共和党は言うわけです。FOXなら偏向した報道はしてもいいが、CBSはしてはイカンと。なぜかというと、CBSは天下の権威あるCBSなんだからそんなことはしてはイカンと。で、権威ではないFOXはやったっていいんだと。このへん、アメリカの一般大衆の持つ反権威感情や反知性感情を共和党は巧みに利用しています。

ただ、情感にうったえると言っても、やり方としては、やはり事実を事実として淡々と主張するしかないと思うんですよ。環境問題について言えば、以前、タバコ産業もタバコは人体に悪影響を与えないと言っていたわけですが、タバコ会社の科学者の内部告発により、そんなことはないということが公になりました。これを報道したのが、同じくCBSの“60ミニッツ”のプロデューサーのローウェル・バーグマンだったわけです。これはアル・パチーノ主演で映画にもなりました。ローウェル・バーグマンのやったことと、ダン・ラザーのやったこと、その結果の違いについてはそのうち書こうと思っています。

民主主義というのは、「大多数が正しい判断をする」ということが前提になっているわけですが、この前提にはなんの根拠もありません。大多数が間違った判断をした場合、民主主義にはそれを正す仕組みを持っていません。

Posted by: 真魚 | January 25, 2005 at 12:32 PM

<<民主主義というのは、「大多数が正しい判断をする」ということが前提になっているわけですが、この前提にはなんの根拠もありません。大多数が間違った判断をした場合、民主主義にはそれを正す仕組みを持っていません。>>

In Defense of Politics (http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0226120678/touen-22/249-5829007-3496318)を読みましたか?

民主主義って政治の環境で単体であるわけじゃないですよね?民主主義を使って政治家が選ばれ、その政治家が政治を行えば少数意見も反映されるのでは?

また、CBSの問題はCBSは”真のジャーナリストである””偏っていない”といっているからでは?FOXや最近の番組は”偏っている”と頭から言ってますよ。

民主党がアメリカで過半数を下院、上院、州議院、州知事でまけているのは共和党が何かやっているのではなく、市民へのアピールが間違っているからでは?

コロラド州ニューメキシコ州などの”赤い州”で、ちゃんとアピールしている民主党は成功を収めている。

民主党のリーダーシップはアイディアに頼らず、人と過去に頼りすぎている。FDR,JFK,クリントン夫妻、ケネディー一家など。新しいアイディアや人は出てきていない。昔の共和党と変わらない。

マイク

Posted by: マイク | January 25, 2005 at 10:55 PM

<<それがそうではなくなったのは50年ぐらい前からです>>

今の日本の文化です。昔を話しても仕方がありませんよね?

CNNなどは世界がオーディエンス。津波ニュースは視聴率を上げる材料です。

日本で今回の津波のニュースをこれ以上流しても、視聴率はあがりません。他の国内のニュースに負けてしまいます。

また、パソコンレベルの画像はテレビで見ていても見難いものです。電話経由のレポートも最初の6時間はOKかも。それ以降はちゃんと見たいですよね。CNNでも他の放送局から動画を買って放送に持ち込んでいます。

ニュースはエンタテーメントになっています。その要素をちゃんと日本の視聴者に持ってこれないニュースはもっとこれるニュースに負けてしまいます。人と心を結びつける要素があれば津波ニュースは続いたでしょうが…

マイク

Posted by: マイク | January 25, 2005 at 11:03 PM

「ニュースはエンターテイメント」
いやな言葉ですが
マイクさんは、やっぱりわかっていらっしゃるじゃないですか。

人と心を結びつける要素がないから

イラク関連のニュースで
マイクさんのいう
「バランス」を欠いた結果なのでしょうね。

あなたの見たいニュースが見たくないニュースに
負けているということですよ。

Posted by: ルイージ | January 26, 2005 at 01:33 PM

ルィージさん、

私が見たいニュースは自分で探してきます。見たくないニュースはNYTなどで扱っていますから、ついでにみてきます。

テレビは娯楽のツールです。そのツールの中で報道が行われているので、ニュースがエンタになるのは仕方が無い。でもそのエンタの中でニュースを伝える人たちが”ジャーナリスト”と名乗ってジャーナリズムは名ばかりな報道を行う… これも私のブログで何回か。

登録したら私のサイトでもちゃんとコメント残せますよ。

MikeRossTky

Posted by: マイク | January 26, 2005 at 10:02 PM

>見たいニュースは自分で探してきます。

正しい姿勢だと思います。

あなたの見たいイラク報道が「バランス」に欠けていようが
他国経由でしか見つからなかろうが。
いちいち、文句をつけることじゃない。

また見つけたら教えてください。


>登録したら私のサイトでもちゃんとコメント残せますよ。

たぶんOSの関係だと思うのですが出来ないんですよ。
Windowsマシンからは入れるんですが(苦笑

Posted by: ルイージ | January 27, 2005 at 10:18 AM

ビル ゲーツさんにちゃんとお金を上げないとね…

マイク

Posted by: マイク | January 27, 2005 at 12:14 PM

いや〜ん

Posted by: ルイージ | January 27, 2005 at 06:37 PM

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