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January 27, 2005

アルカイダはブッシュが作ったBoogeymanだった?

 今のアメリカは、イスラム過激派テロリズムを、かつての共産主義のような仮想敵としている。その筆頭は、オサマ・ビン・ラディンが率いるアルカイダである、ということになっている。

 しかし、ことの始まりは、言うまでなく2001年9月11日の同時多発テロ事件に端を発している。そして、この事件について、その全容はまだはっきりしていない。つまり、「何が起きたのか」や「誰がいかなる目的で行ったのか」等々のことがまだ明確になっていない上で、その後のアフガニスタン戦争やイラク戦争を行い、今日に至っているのである。

 LA Times(Jan 11,2005)は、イギリスのBBCで放送されたドキュメンタリー番組"The Power of Nightmares: The Rise of the Politics of Fear"を紹介している。この番組は、そもそも、本当にオサマ・ビン・ラディンが率いるアルカイダという国際テロ組織の脅威が存在するのだろうかと疑問を呈している。この記事"Is Al Qaeda Just a Bush Boogeyman?"は、かなり反響があったらしく、ネットの数多くの独立系メディアサイトに転載されている。その記事を意訳してみよう。

"much of what we have been told about the threat of international terrorism "is a fantasy that has been exaggerated and distorted by politicians. It is a dark illusion that has spread unquestioned through governments around the world, the security services and the international media.""

「我々は国際テロリズムの脅威をさかんに論じているが、それは、政治家によって誇張して歪められたファンタジーである。それは、世界中の政府と安全保障当局と国際メディアを通して疑いなきものと広められた暗黒の幻想である。」

 軍隊が行う戦争では、敵の対象や規模が明確にわかった上で戦争を行う。テロにはこれができない以上、どこからどこまでやればいいのかわかったものではない。テロの脅威というのは、具体的に実体がある武力の存在の脅威ではなく、イメージや情報などといった目に見えないものの脅威なのだ。であるのならば、これほど権力者に操作されやすい対象はないだろう。

"Terrorism is deeply threatening, but it appears to be a much more fragmented and complex phenomenon than the octopus-network image of al Qaeda, with bin Laden as its head, would suggest."

「テロリズムは大きな脅威である。しかしながら、それは、ビン・ラディンが率いるアルカイダのオクトバス-ネットワークのイメージが示唆するよりも、もっと断片化されていて、かつ複雑な現象である。」

 このブログでも何度も書いているが、テロリストを相手に戦争というスタイルではダメなのである。であるのにも関わらず、ブッシュ政権はなぜ戦争スタイルに固執するのか。軍事産業がそれで儲かるからである。市民を統制管理できるからである。つまり、ブッシュ共和党政権は、アメリカ市民の自由を侵害し、国家の安全保障のためといいながら、実際に行っていることは、対テロのためにはなん役にも立たないことを行い、結果的にアメリカ市民を危険にさらしているのである。

 なぜ、そう思えるのか。

"The fact is, despite the efforts of several government commissions and a vast army of investigators, we still do not have a credible narrative of a "war on terror" that is being fought in the shadows."

「実際のところ、数多くの政府委員会と厖大な数の調査官の努力にもかかわらず、我々は隠れて行われている「対テロ戦争」の信用できる話しをまだ持っていない。」

 そして、この記事の最後にこう書いてある、

"Such a state of national ignorance about an endless war is, as The Power of Nightmares makes clear, simply unacceptable in a functioning democracy."

「終わりなき戦争についての国家的な無知の状態は、この番組が明確にしているように、健全な民主主義では受けれがたいのである。」

 日本のことわざに「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というのがある。アルカイダは「枯れ尾花」だとは思わないが、ブッシュ政権は正しい「敵」のイメージを掴んでいるとは言い難い。もっとも、意図的にそうしていることはミエミエなのであるが。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

http://www.samizdata.net/blog/archives/006829.html provides another point of view...

Posted by: マイク | January 27, 2005 at 10:47 PM

Mike,

It's clear that Stalin's Soviet was a threat. However, Islamic terrorists are not the Communist army.

Posted by: 真魚 | February 02, 2005 at 12:48 AM

So communist rebels around the world were also not an army?

Posted by: マイク | February 02, 2005 at 08:33 AM

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Posted by: blackjack | May 12, 2005 at 04:03 PM

上記のコメントですが、削除したろと思いましたが、ブログのコメントにURLを埋め込む時はこうやって行うのだというサンプルとして残します。興味のある方は、IEでの「ソースの表示」等でソースを見ることができると思いますので、参考にしてください。私も参考になりました。

Posted by: 真魚 | May 13, 2005 at 01:27 AM

はじめまして、TB付けさせていただきましたが、どうしたわけか概要が出ませんでした。内容は、NHKで放送された日本語版の話です。

Posted by: soliton_xyz | September 17, 2005 at 12:58 PM

はじまして。
ブログの方拝読させていただきました。
さすがにアメリカ国民もブッシュの言っていることに疑問を持ち初めています。支持率はどんどん低下しています。パウエル前国務長官も国連での説明は自分の人生の中で汚点であったと言っています。

ソビエト共産主義への恐怖の次はイスラムテロへの恐怖になり、つまり第二次世界大戦以後のアメリカは、常に何者かへの恐怖によって自己を認識してきました。世界の超大国、人類最強の軍事力を持つ国も、その内情はこうしたものだったわけです。

Posted by: 真魚 | September 17, 2005 at 10:03 PM

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