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October 11, 2004

ジャック・デリダ亡くなる

 フランスの哲学者ジャック・デリダが亡くなった。80年代末に大学時代を送った僕にとって、ジャック・デリダという名前は、あまりにも馴染み深い名前であるが、その思想を正しく理解しているのかというと、まったく心許ない。一応、あの当時、デリダの著作を何冊か読んでわかったような気がしたが、今思うと何をどうわかったのか、さっぱり思い出せない。

 フランスの現代思想で、経済や社会を論じること(1980年代は、それが流行だった)が、果たしてどのような現実的意味を持っているのかというと、意味はないと今の僕は思う。もちろん、比較文学や哲学の分野では、現在では時代遅れになりつつあるが、ジャック・デリダについての言及が当然なくてはならないものであると思う。しかしながら、アメリカの政治思想を理解する上では、フランスの現代思想はなんの役にも立たない。もちろん、教養として知らないより、知っていた方がいい。しかし、その程度のものである。(だだし、ミシェル・フーコーは知っておくべきだとは思う。)

 僕は、今ここで「しかし、その程度のものである」と、すらっとクールに書いているが、80年代末に大学で、それなりに勉強をしていた文科系の学生だった者ならば、多かれ少なかれフランス現代思想の影響を受けたはずだ。「私は、そんなものにかぶれることなく、自分の専攻の学問をしっかりと勉強していました」という真面目な学生だった人もいるだろうけど。少なくとも、僕はかぶれた一員であった。その己の過ちを正してくれたのは、副島隆彦の本である。80年代から(それ以前からも)、良くも悪くも世界を動かし、変えてきたのは、アメリカの政治思想である。フランスの現代思想ではない。そのことが、80年代の僕にはわからなかった。

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「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

近代アメリカ政治思想のTurningPointとして歌われているスピーチを読んで見ては?

http://www.washingtonpost.com/wp-srv/politics/daily/may98/goldwaterspeech.htm

でもこのスピーチにデリダのDeconstruction的な評価はしないでくださいね。

マイク

Posted by: マイク | October 11, 2004 at 08:13 AM

このへんの流れをざっと言うと、

1964年の共和党大統領候補選挙こそ、共和党の a turning pointです。この時、ネルソン・ロックフェラーではなく、バーリー・ゴールドウォーターが大統領候補になったことにより、共和党の主流は保守主義になりました。もちろん、この時の大統領選では共和党は大敗しますが、この大敗こそ保守主義の新たなる始まりであると言えます。ここで重要なことは、共和党は政策立案力をつけるために、優れたシンクタンクを数多く設立していったことと、将来、大統領選挙に出馬できる人材の育成です。ゴールドウォーターの選挙運動に関わっていた元映画俳優のレーガンが注目を浴びました。保守主義は、ニクソンとフォードには期待はしていませんでした。

この変化の意味を、1960年代、70年代、80年代の日本の知識人はまったく理解していなかったのは、岩波・朝日の文化人が、ベトナム戦争反対と日米安保の枠組みでしかアメリカの政治を見てこなかったからです。ところが、日本の知識人は、フランスの1968年の5月革命とか、レヴィ・ストロースの構造主義革命は高く評価するわけです。思想の変革はフランスにしかないものだと思っていたのか、間違ってもアメリカなんかに目を向けることはなかったわけです。

1995年に副島隆彦が、日本で初めて、このアメリカの思想的変動についての本を出しますが、一部の人々が関心をもっただけです。ようやく、2000年代になってアメリカの保守主義やネオコンが一般的に知られるようになりました。さらに、今年はAyn Randの代表的小説2冊の日本語訳が出版されました。

保守主義者にとっては、祝うべきことであると言えよう。

Posted by: 真魚 | October 11, 2004 at 07:29 PM

真魚さん、

>思想の変革はフランスにしかないものだと思っていたのか、間違ってもアメリカなんかに目を向けることはなかったわけです。
>このアメリカの思想的変動


なるほど、この記事で真魚さんの今までの切り口の根底が分かったような気がします。…いや、今まで愚鈍な私メは、「なんでそんなに何でも共和党的保守主義征伐に結びつけて書くのかな」と思ってたので。

昨今のあれらを所謂ひとつのアメリカ発の新思想、と捉えていらっしゃる訳なんですね。これはちと、過去の真魚さんの記事をきちんと読み返さなくてはいけませんね。

もし宜しければ、その新思想についての定義が書かれた記事を教えてくださいませ。

Posted by: kaku | October 12, 2004 at 03:16 PM

共和党的保守主義征伐というのは、いい言葉ですね。
なんか、鬼ヶ島の鬼退治みたいで。(^_^;)
(「うんうん、そう、征伐しなければ。」ト、ココデ内心オモフ)

まあ、保守とリベラルの論争はa political mud-slinging contestなところがあるというのは、誰でも知っていることですから。政治思想というのは宗教ではありませんから、双方が、細かく、ごちゃごちゃ言い合うのは必要だと思います。それに、なんだかんだ言っても、僕は保守主義というのは重要な思想だと思っていますし、リバータリアンの思想は尊敬すべきものだと思います。今の共和党保守には、ネオコンやキリスト教右派がバックにいますから、これはこれで区別はしなければなりません。ひとくちに「アメリカン保守主義」と言ってもいろいろな側面があります。

そうですね、これは「アメリカ発の新思想」だと捉える必要があると思います。僕はまだ、このことについて、まとまったものを書いていません。うーむ、書かねば、ですね。

その代わりというのもなんですが、kakuさんに、ぜひともお勧めなのが
副島隆彦著「世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち」講談社+α文庫
佐々木毅著「アメリカの保守とリベラル」講談社学術文庫
中岡望著「アメリカ保守革命」中公新書クラレ
の3冊です。

特に、副島隆彦のこの本はmust readです。

Posted by: 真魚 | October 14, 2004 at 02:11 AM

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