« スパムコメントに遭遇する | Main | ジャック・デリダ亡くなる »

October 04, 2004

第1回大統領選ディベートを見て、ブッシュは阪神だと思った

 30日夜のフロリダでの大統領選候補者による第1回政策討論会について。その後の有権者の支持はどう変わったのか、NewsWeekの調査によると

"In the first national telephone poll using a fresh sample, NEWSWEEK found the race now statistically tied among all registered voters, 47 percent of whom say they would vote for Kerry and 45 percent for George W. Bush in a three-way race."

 とあるように、逆転してケリーがリードしている。やったあ、このまま持ち越せば、ブッシュに来年はない。共和党政権は1期で終わりなのだ。世界中の人々がこれで安心できる。

 と、思ってはいけない。NewsWeekの調査を見ると、気がかりな記述がある。

"In fact, Kerry’s numbers have improved across the board, while Bush’s vulnerabilities have become more pronounced. The senator is seen as more intelligent and well-informed (80 percent, up six points over last month, compared to Bush’s steady 59 percent); as having strong leadership skills (56 percent, also up 6 points, but still less than Bush’s 62 percent) and as someone who can be trusted to make the right calls in an international crisis (51 percent, up five points and tied with Bush). "

 ようするに、ケリーの方が知的で、状況を把握していているように見える、ということは多くの人々がそう感じている。ところが、強力なリーダーシップの能力は、ブッシュの方が上だと判断しているのだ。さらに、ブッシュは国際的な危機的状況の中で正しいことを行っていると信頼できると支持している人々が約半数いるのである。

 なぜなのか。正常な国際感覚があれば、ケリーの言っていることが正しいことはわかるだろう。なぜなのか。この、なぜなのかを考えることが、多少、大げさに言うと、今のアメリカで何が起こっているのかを理解することになると僕は考える。

 30日のディベートのビデオはC-Spanで見ることができる(Transcriptは、例えばwashingtonpost.comにある)。ブッシュという人は、ケリーと並んで壇上に立つと、なんかこー、どう見ても、人がよさそうなテキサスの牧場主のおじさんである。

 ブッシュは、まるで口頭試験を受ける学生のように緊張していた。これに対して、ケリーは悠然というか泰然自若としていた。ケリーの的確な指摘に、ブッシュはタジタジという感じであった。貫禄から言っても、どっちが合衆国大統領かわからなかった。C-Spanの映像では、大統領選挙ディベートでは、候補者がしゃべっている時、相手の候補者の様子を放送してはならないという規則に従っているが、ABC NewsのNightlineでは、ケリーが「テロ対策の目的はフセインではなく、オサマ・ビンラディンだ。」と切り出した時、オドオドし始めたブッシュの様子が映像に映っていた。

 おもしろいのは、ブッシュが司会者から「あなたの持ち時間は30秒ですよ。」と言われた時、ブッシュは緊張して"Thank you, sir."と"sir"をつけているのだ。あんた、合衆国大統領なんでしょう。どちらかというと、ケリーどころか司会者の方が貫禄が上だったとさえいえる。

 最後の方で、司会者がブッシュに「ケリー氏は、合衆国最高司令官の職に的確ですか」という質問をした時、ブッシュは笑顔で

"I admire Senator Kerry's service to our country. I admire the fact that he is a great dad. I appreciate the fact that his daughters have been so kind to my daughters in what has been a pretty hard experience for, I guess, young girls, seeing their dads out there campaigning. "

 と、なぜか娘の話題を持ち出してきて、ケリーとケリーの娘をほめた。このシーンは結構ポイントなのではないだろうか。誰もが、ブッシュはケリーを攻撃すると思っていたはずだ。このシーンを見た時、この人は、家庭的で、素朴な、いいおじさんなんだなあ、とつくづく思った。日本の総理で言うと、ブッシュは前総理の森総理のようなおじさんではないだろうか。森総理もまた独特の憎めないアジがある人だった。

 これだ!と僕は思った。これですね。この雰囲気がケリーにはない。ケリーは強いて言えば、1993年から94年の細川総理みたいなタイプであろうか。良くてスマートという感じであるが、悪くてクールな感じがする。いかにも、東部の名門の上流階級の上院議員という感じがする(細川総理も名家の出であった)。もちろん、ケリーは冷厳な人かというと、そんなことはまったくない。この人は、この人でおもしろいおじさんなのであるが、大体、大統領選挙のディベートで不必要な笑顔を見せる必要はないだろう。

 しかし、大統領選挙のディベートだろうと、なんだろうと、いつも根は「テキサスの人がいい牧場主のおじさん」で通すブッシュの姿に愛着を感じる人が多いのではないだろうか。今回のディベートで、ケリーにぴしゃりと叩かれたようなブッシュであったが、ABC NewsのWorld News Tonightで、これもまたいかにも南部の、人がよさそうな素朴な感じがするお兄さんが、「ケリーの言っている方が正しくても、僕はブッシュを支持する」と言っていたのを見て、こりゃあもう、そうなんだなと思った。

 なにが、そうなのか。ここで唐突にへんなことを言うようであるが、ようするにブッシュは阪神なんだなということである。阪神を愛するという関西の人々の心情は、東京人である僕にはわからないものがあるが理解はできる。つまり、共和党というのは阪神だったのである。(このへん、なんの論理的根拠もないけど)

 ブッシュに根強い支持があるということは、民主党が言うような、アメリカの単独行動主義や先制攻撃を良しとする政策は、国際社会でのアメリカの信用を失うとか、イラクとアルカイダは関係なかったとかいうことは、どうでもいいと思っている人々がたくさんいるということなのだ。ケリーが「国際社会の信用を得ることが必要だ」と言うのに対して、「国際社会の信用がアメリカを守ってくれるか。アメリカを守るのはアメリカだ。」と大声できっぱりと言う姿(今回のディベートの中でそう言ったわけではない)に拍手を送る心情を持った人は多い(そして、この言葉はある意味で真実であることは否定できない)。そうした心情を持つ人々にとって、ケリーのなめらかな東部のイングリッシュに対して、ブッシュの南部のイングリッシュで、時にはしどろもどろで、しかし熱意をこめてしゃべる姿に、ケリーにはない誠実さを感じるのではないだろうか。いや、ケリーに誠実さがないというわけではないが、なにに誠実さを感じるかということついて、人それぞれなのであろう。Politicsとは、logicだけではないということである。

 アメリカ人ではない人々、ヨーロッパ人とか日本人なら、アメリカのやり方は間違っていると言うことができる。しかし、アメリカの(保守的な)人々にとっては、自分たちに危害を加える可能性があるのならば、いかなるものであろうと先に軍隊を送って危険を潰すのは正しい行為なのである。他国人から見れば外交問題(ふぉーりん・あふぇあーず)であっても、当の国の人々にとっては国内問題(どめすてぃっく・いしゅー)なのである。

 NewsWeek,Oct 4で、NewsWeek国際版編集長のFareed Zakariはこう書いている。

"--because Bush is telling Americans what they believe about their country. He is telling them what they want to think about the mission in Iraq."
(なぜならば、ブッシュはアメリカ人に、彼らが自分たちの国について信じていることを語っているのである。彼は、アメリカ人がイラクで行っていることについて信じたがっていることを代弁しているのだ。)

 従って、この(保守的な)人々の認識を崩すのはたいへんむずかしい。なにしろ、自分たちが信じているものを否定するのだから。阪神ファンに、阪神ファンをやめろと言うようなものである。まず、できない。

 今の自国民が信じているものが偽りであるという真実を語る政治家こそ、本当に価値のある政治家なのであろう。しかしながら、大衆の支持を得なくては当選しないという民主主義の悪い点がそれを阻んでいる。

 さらに、9.11の衝撃は、アメリカの(保守的な)人々にとって、非アメリカ人である僕たちが考える以上に大きかったということだ。明確な戦略もなく行われたイラク戦争について考えるたびに、僕はこの戦争はアメリカの攘夷なんだなと思うようになった。9.11を日本軍の真珠湾攻撃にたとえていたが、それは間違っている。正しくは、9.11は黒船来航だったのである。尊皇攘夷は、外国を知っている者たち、例えば福沢諭吉にとってみればバカバカしいの一言であったが、そうではない(保守的な)日本人にとっては本気で切実なことだった。今のアメリカは尊皇攘夷のまっただ中なのだ。イラク戦争は、イスラムに対するアメリカの尊皇攘夷(正しくは、尊「アメリカン・ウェイ」攘「イスラム」)だったのである。

|

« スパムコメントに遭遇する | Main | ジャック・デリダ亡くなる »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

<<9.11の衝撃は、アメリカの(保守的な)人々にとって、>>

Non-Liberalはアメリカでは65-80%に及びます。9・11の衝撃は反アメリカ的な人意外には根本的な印象を植え付けました。

日本人は9・11では30人以上がお亡くなりなられましたが、国内へのインパクトは無に等しいですね。オームのサリン事件の数倍の事件が日本で起こった場合どのようなインパクトが日本人の印象としてのこるのでしょうか?

9・11を他人事のように扱うLiberalの人達にはとうてい理解ができない事かもしれません。

マイク

Posted by: マイク | October 04, 2004 at 06:47 AM

<<なぜなのか。正常な国際感覚があれば、ケリーの言っていることが正しいことはわかるだろう。なぜなのか。>>

正常な国際感覚ってLiberalな国際感覚なんですよね?

ケリーの言っている事をちゃんとフォローしていますか?あなたは日本の防備を国連に任せますか? もし、海外から誰かが日本を攻めてきたら、誰にまず電話を掛けますか?

マイク

Posted by: マイク | October 04, 2004 at 06:56 AM

robitaさん、

robitaさんのコメントが消えてしまったようです。
3日のスパムコメントのところで書いた、「コメントが消える」という現象はこれはこれでまだ続いているようです。スパムコメントのせいかなと思っていたのですが、そうではなかったようです。
少々お待ちください。

うーむ、これは困る・・・・。

Posted by: 真魚 | October 04, 2004 at 01:38 PM

私は保守・リベラル、どちらの立場にも専従的には立っていないつもりなんですが、どうしてもいつもマイクさんの意見に同意することになるんです。

私思うに、GWBの評価と言うのは、彼の「田舎の気のいいオジチャン」と言うキャラ以上に彼のテキサス州知事時代の死刑執行にあるのではないかと。つまり、「既に決まったことを忠実に実行出来る能力」への信頼感では?米国は欠点は多々あれども世界の中でやはり最高水準にあるデモクラシーを体現している国家でしょう。行政府のどんな行動も、他の2権を無視することは無い以上、共和党とか保守とかの問題ではないような気がします。

だってね、日本に原爆を落とす事にGOサインを出したのは民主党政権ですよ。大きな戦争に突入することを決定してきたのは圧倒的に民主党政権だし。私はその事を忘れて米国政治を眺めたことはありません。

>尊皇攘夷は、外国を知っている者たち、例えば福沢諭吉にとってみればバカバカしいの一言であったが、そうではない(保守的な)日本人にとっては本気で切実なことだった。<

私に言わせていただければ、福沢諭吉はしっかり「尊王攘夷」派です。しかし、その手法が当時の尊皇攘夷派のやり方では到底ダメだ、アホ過ぎる、と言ったのだと。

Posted by: kaku | October 04, 2004 at 05:09 PM

robitaさん、

ニフティのココログの障害でコメントが消えてしまい、もうしわけありませんでした。現在は復旧したそうですが、消えたコメントは復活できないようです。でも、大丈夫です。robitaさんのコメント、覚えております。

Politicsとは、logicだけではなくて感情もあるのはその通りで、特に社会心理、大衆感情に大きく左右されます。さらに、様々な利害関係、人間関係が複雑に絡み合い、政治家はそうしたものへの対応に追われるだけのようです。我々は政治家を批判しますが、そうした物事への対応も誰かがやらなくてはならないわけで、さらに政治哲学やら内容のある政策を彼らに求めるのは酷、というか不可能なのかもしれません。

だから政策秘書とかあるんでしょうという話になりますが、その秘書の給料すら事務所の運営費にまわさなくてはやっていけないというところに問題があります。ようするに、政治にカネがかかりすぎるんですね。

若い女性には、小泉人気はないのではないでしょうか。小泉人気は中年女性が支えるというのは、まことに失礼な言い方になりますが、中年女性の方々はもう「なにもかもそろっている」からではないかと思います。生活基盤が盤石になっている。それに対して、これから世の中で働こうという若い女性は切実なものがあります。アタマからっぽの政治家ではダメだということがわかっているのではないかと思います。

英邁な指導者というのは人間的魅力に溢れている、というのは理想ですね。人間的魅力とか大衆の支持とかいったものはとりあえず横に置いておいて、期間を限定して、本当に能力のある人を政府の役職につければいいと思うんです。なんなら、外国人だっていい。明治政府はお雇い外国人を使いました。少子化による労働力の低下を防ぐために移民の話がよく出ますが、政府の役職の外国人導入はなぜか話題になりません。

Posted by: 真魚 | October 05, 2004 at 01:54 AM

マイク、

日本人からすれば、9.11は自分たちへの攻撃ではないから無関心ですね。事実、日本は無関係なんだし。オサマ・ビンラディンは、サウジアラビアに厖大な規模のアメリカ軍が駐屯していることに抗議していました。日本は関係ありません。しかし、最近は日本もアメリカ支持国ということでテロリストの標的になっています。それは「日本はアメリカの支持国だから」という理由です。小泉総理は、日本がテロの標的になってもいいから、アメリカを支持しているのかというと疑問です。そこまで考えていないですね。しかし、そういうことになります。

アメリカ国内の日本人の生命・財産は、日本政府のかわりに、アメリカ政府が守る責務があるのではないでしょうか。それが守れなかったわけです。本来ならば、日本政府はアメリカ政府に損害賠償を請求できるのでは?

Posted by: 真魚 | October 05, 2004 at 02:03 AM

マイク、

>>もし、海外から誰かが日本を攻めてきたら、誰にまず電話を掛けますか?<<

国連が守ってくれるわけないでしょう。だから、僕は文中で
(そして、この言葉はある意味で真実であることは否定できない)
と書いたんです。

しかし、NYCの貿易センタービルとワシントンDCのペンタゴンに攻撃をしてきたのは、半世紀前の日本海軍でも、イラクのフセインの親衛隊でもなく、国際的なイスラム・ネットワークを背景にしたアルカイダというテロ組織なんです。国と国の戦争ではありませんよ。国際的なテロ組織に対して、アメリカの海兵隊がどう戦うのですか。国際的テロ組織に対抗するには、各国の国際的な協力が必要です。国家の安全保障とは、一国だけで単独できるものではありません。そう、ケリーも言っています。それを「単独でできる」と言っているのがブッシュなんです。

Posted by: 真魚 | October 05, 2004 at 02:04 AM

kakuさん、

保守主義の意見というのは(一部、問題な部分もありますが)概して、今の時代の人々(体制側、既得利益側、あるいは政治家、官僚、財界、マスコミ、御用学者の人々ではなく、そうではないフツーの人々)の要求に合っているものなんです。

日本もアメリカも(イギリスもそうなんですが)、ここ半世紀間の社会民主主義的な政策(アメリカでは、これをリベラルの政策と呼び、日本では、これを自民党の政策と呼ぶ)が行き詰まりになっています。だから、アメリカでは1980年代から急速に保守主義が伸びていきました。イギリスでも、サッチャーは保守主義でした。これに対して、日本では今現在に至るまで変わっていません。ですから、保守主義やリーバタリアンの考え方がたいへん重要です。アメリカの保守主義の考え方を元に、日本の場合はどうすればいいのかを各人が考えるようになればいいと思います。

>>行政府のどんな行動も、他の2権を無視することは無い以上、共和党とか保守とかの問題ではないような気がします。<<

いえいえ、大統領府と議会と最高裁判所のパワー関係は、アメリカ政治の要のひとつです。大統領ってゆーのは、ほおっておくと議会と裁判所(そしてアメリカ市民)に隠れてなにかよからぬことをやるに違いない、だから注意しなくてはならない、というのがアメリカ政治のタテマエです。

ちょっと、ややこしいんですけど、「政治思想」と「政党」と「実際の政治」の間には違いがあります。しかしながら、だからといって保守・共和党、リベラル・民主党の問題でないというわけでもありません。それは歴然としてあります。で、保守とリベラルは、言論でa political mud-slingingをやっているわけです。


>>大きな戦争に突入することを決定してきたのは圧倒的に民主党政権だし。私はその事を忘れて米国政治を眺めたことはありません。<<

これはその通りです。「テロとの戦いは戦争ではない その3」ではウッドロー・ウィルソンについて書く予定です。この民主党大統領の時代から、アメリカは海外「侵略」に大きく傾いていきました。外国にアメリカの民主主義を広げようという思想はそもそも民主党の考え方です。globalizationというのもリベラルの考え方です。保守もリバータリアンもそんなことは考えません。

では、なぜいまの共和党政権はそう言っているのかというと、レーガン時代に元リベラルで、イスラエル支持、アメリカの海外展開支持の一派が共和党に移ったからです。これによって80年代に保守主義は大きく変わりました。このことも「その3」で、くわしく書きます。

福沢諭吉は、師の緒方洪庵が亡くなった時、葬儀の席で、同じ適塾の先輩の村田蔵六に「攘夷なんて、やってられないよなあ」と言っています(と、確か「福翁自伝」に書いてあったような気がします。今、手元にないんでわからないですが。)村田蔵六(後の戊辰戦争で官軍の司令官になった大村益次郎です。九段下の靖国神社に銅像がありますね。)は確信犯的攘夷主義者でした。

若い頃の福沢は、ちょっと調子のいいところがあって、「我ら洪庵先生門下が、攘夷なんてバカなことをやるわけないじゃないか」と村田に言うのですが、村田は「攘夷のどこが悪い」とどなります。村田は、民衆に攘夷というナショナリズム的エネルギーがあってこそ、倒幕という革命ができるのであって、みんな、福沢みたいな、もののわかった人になってしまったら倒幕なんてできるものかと考えていました。(と、司馬遼太郎の「花神」という小説に書いてあります)確かに、福沢のあの性格を考えると、村田の考えは正しかったと思います。

当の福沢としては、kakuさんが言われるように、攘夷の連中のようなアホなやり方ではない「攘夷」を考えていたんだとは思います。大体、この人、晩年になると気骨ある老人になりますね。

Posted by: 真魚 | October 05, 2004 at 02:29 AM

>アメリカの保守主義の考え方を元に、日本の場合はどうすればいいのかを各人が考えるようになればいいと思います。

>いえいえ、大統領府と議会と最高裁判所のパワー関係は、アメリカ政治の要のひとつです。大統領ってゆーのは、ほおっておくと議会と裁判所(そしてアメリカ市民)に隠れてなにかよからぬことをやるに違いない、だから注意しなくてはならない、というのがアメリカ政治のタテマエです。

私の理解では、米国大統領の権限は確かに大きいですが、所謂議院内閣制に比してその分野は「行政」に限られています。米国立法府は大統領の罷免権を持ちますが大統領はそれを持ちません。むしろ、日本や英国の首相が持つ、議会の内閣不信任決議に対抗して発動する議会解散権を保障する議院内閣制の方が、その気になれば専制的に行動することが可能、とも言えると思います。

そう見てくると、結局昨今の世界情勢の問題点と言うのは、共和党的保守主義か民主党的社会民主主義か、と言うことではなくて、デモクラシーと言う制度の限界もしくは欠陥を露呈しているのではないかと私は最近考えています。

ヒットラーを生み出したのは議院内閣制のドイツであり、国民からほぼ直接的に選択される大統領制の権威の大きさも結局は同じ結果を生み出しています。つまり、自国内向けには機能するデモクラシーも他国に向けては侵略的・専制的に機能する。

私は現行の国連には何の期待もしていませんが(むしろ中指を立てています)、新しい“国連的な組織”の誕生には期待しています。EUの全世界版に近いものを作れたとき、現在のデモクラシーが抱える理念と制度の矛盾を多少なりとも緩和してくれる可能性はあるかもしれませんね。

Posted by: kaku | October 05, 2004 at 09:55 AM

あっ、そうだ。

>若い女性には、小泉人気はないのではないでしょうか。<

この点ですが、私は“ものすごく”若くはありませんが中年ではない女性といえると思います。で、小泉首相を就任以来基本的には支持しています。

彼を「素敵!」とも「人間的魅力に溢れている」とも思っていませんし、その様な要素もこの国のリーダーに期待していませんが、これから世の中で自分の力を発揮したいと思っている人間からすれば「最低限のやるべきことはやっている」と言う印象です。

もちろん、これは過去の首相に比べて、と言う、非常にレベルの低い選択の問題ではありますが。

Posted by: kaku | October 05, 2004 at 10:07 AM

ブッシュの"シンプルな魅力”とケリーの”混同”はこの記事を読めばよくわかるのでは?討論会の準備の時にブッシュとケリー役をこなした二人の感想。面白いですよ。

http://www.nytimes.com/2004/10/04/politics/campaign/04letter.html

小泉さんの魅力もブッシュのシンプルな魅力と同じようなところがあるのではないでしょうか?

マイク

Posted by: マイク | October 05, 2004 at 10:59 AM

kakuさん、

連邦議会には大統領の罷免権はなかったと思います。議会が大統領を解任させる方法は、弾劾裁判にかけて有罪とした場合のみだったと思います。

>>そう見てくると、結局昨今の世界情勢の問題点と言うのは、共和党的保守主義か民主党的社会民主主義か、と言うことではなくて、デモクラシーと言う制度の限界もしくは欠陥を露呈しているのではないかと私は最近考えています<<

それは、共和党や民主党という政党の概念と、デモクラシーという政体の概念を同一レベルで論じています。デモクラシーそのものへの欠陥という話になるのならば、では共産主義はどうか、ファシズムはどうか、アナーキズムはどうかという話になります。フランシス・フクヤマという人によると、リベラル・デモクラシーが最終の政治形態であるとしています。しかし、そうではないという論者もあって定まっていません。前にも言いましたように、民主主義は衆愚政治に堕する危険性が常につきまといます。大衆にはパンとサーカスを与えていればそれでいいのかという問題はあります。

ただ、その次元で考えることと、共和党や民主党の政党政治を考えることを区別しましょう。そうしないと話がごっちゃになります。共和党も民主党も、民主主義であること、個人主義主義であること、自由主義であることというアメリカの政治思想の大前提みたいなものは崩していません。その上で、それらについておのおの考え方が違うのです。

完全無欠の政体というものはありません。いかなる政体も、内部に矛盾や欠陥を持っています。重要なのは、その矛盾や欠陥に対してどう対応するのかということです。結局、保守もリベラルも、この「どう対応するのか」の違いなんです。リベラル・デモクラシーの政体そのものを変えようと言っているわけではありません。(もちろん、デモクラシーの限界について、それはそれで考えていかなくてはなりませんが。)

>>私は現行の国連には何の期待もしていませんが(むしろ中指を立てています)、新しい“国連的な組織”の誕生には期待しています。<<
>>EUの全世界版に近いものを作れたとき<<

国の問題を「国際組織」なるものが解決してくれるであろうというのはfantasyです。なぜならば、国家という枠組みはありますが、その上位概念としての法的権力を持った世界政府なるもののは、もっかのところ存在していないからです。

EUはヨーロッパ地域だからこそできたのだと思います。他の地域ではたいへん困難です。例えば、東アジアではまず不可能です。本当の意味での国際組織ができるためには、「人類」という共通認識を、どこの国の人々も持つようにならなくてはなりません。しかしながら、人類はそこまでまだ進歩していません。地球外知的生命体とのコンタクトでもあれば別ですが。

「国連」とか「新しい“国連的な組織”」というハコに期待をよせるのではなく、そのハコの中で実質的にどのように討論していくのかということが重要です。今の国連は、実際は大国とその他の国々の間での政治的駆け引きの場であって、国のエゴとエゴのぶつかり合いです。

Posted by: 真魚 | October 05, 2004 at 11:50 PM

Mike,

"If America shows uncertainty or weakness in this decade, the world will drift toward tragedy. This will not happen on my watch."

シンプルな魅力?
He is a paranoiac rather than a realist.

Just three years later, during Bush debate with Al Gore in the 2000 election, when asked by the moderator, Bush said

"I--I would take the use of force very seriously. I would be guarded in my approach. I don't think we can be all things to all people in the world. I think we've got to be very careful when we commit our troops. The vice president [Al Gore] and I have a disagreement about the use of troops. He believes in nation building. I--I would be very careful about using our troops as nation builders. I believe the role of the military is to fight and win war and, therefore, prevent war from happening in the first place. And so I take my--I take my--my responsibility seriously."

So, It seems to me that he is 発言がころころ変わる more than Senator John Kerry.

Posted by: 真魚 | October 05, 2004 at 11:51 PM

Mike,

I ordered a book "In Defence of Politics" that you recommend. After reading, I'll write a review.

Posted by: 真魚 | October 06, 2004 at 02:49 AM

For Kerry, to say " This will not happen on my watch", it would take about an hour. That is what is meant by "simple".


<>

You are taking the statement out of context. How was the US using the military? How would Al Gore have used the military? Bush is using it to defend the US from a military organization that uses Terrorist tactics as a weapon.

When Iraq is ready, US will pull out. Al would have used US troups long after US should have pulled out for nation building.

No flip flop here. You just have finding facts and situations that help make your point.

マイク

Posted by: マイク | October 06, 2004 at 06:05 AM

真魚さん、

>連邦議会には大統領の罷免権はなかったと思います。議会が大統領を解任させる方法は、弾劾裁判にかけて有罪とした場合のみだったと思います。

私は神学論争が嫌いなので、言葉の定義を学術的に正しく使いませんでした、スイマセン。どうも話が拡散しそうなのでちと、整理させていただきます…申し訳ないのですが、私の話はどうぞ、シンプルに受け取って下さい、だいたい一つの話に一つの論点しか入れてませんので。以下、まずは米国政治について。

私の言いたかったことは、議会はU.S. Constitution ArticleⅡ, section4に基づき、大統領・副大統領およびその他の大臣を"impeachment process"にかけることが出来る、即ち、checks and balancesが保証されています、と言う事でした。

で、何故米国にもchecks and balanceがあるんですから~と書いたかと言うと、私が真魚さんの今回の記事が「ブッシュおよびその取り巻き」の思惑・陰謀により世論を超えて米国を迷走させている、という指摘をなさっている様な印象を受けたからです。で、私は「そうではないでしょう、これも米国国民の意思の反映です=デモクラシーです」と言いたかった訳です。

私は、デモクラシーって理念と言うよりもシステムだと思っています。それが市民の意志を政府に反映させる事を目的としているdemos+cratosである以上、それが衆愚だろうと英邁であろうとなんだろうとあまり関係ないんじゃないかと思います。

だからこそ、「政党和党や民主党という政党の概念と、デモクラシーという政体の概念を同一レベルで論じ」ても仕方ないのではありませんか、と言っています。

で、「完全無欠の政体というものはありません。いかなる政体も、内部に矛盾や欠陥を持ってい」るからこそ、「重要なのは、その矛盾や欠陥に対してどう対応するのかということ」=デモクラシーが如何にして全世界的に機能するかを考えた方が問題の根本解決になる、と言っています。

私が見るに、米国人の多くはその問題の答えとして、すべての国家が民主主義体制になればよい、と考えているのではないかと。それが当事国や妙にテロリストにだけ思いやりのある人々からすると「思想の押し付け」に見えるのではないかと。

で、実は私も全ての国家が民主主義体制になればこの問題に関しては解決する、と思ってます。今はそれが「押し付け」に見えたとしても、いずれ変わってくるでしょう、「自由の味は一度知ったら止められません」ので。

Posted by: kaku | October 06, 2004 at 10:04 AM

真魚さん、それでは「国際組織としての国連」について。

>国連が守ってくれるわけないでしょう
>国の問題を「国際組織」なるものが解決してくれるであろうというのはfantasyです。<

ハイ、私もそれをフォローしたつもりなんですが。

>今の国連は、実際は大国とその他の国々の間での政治的駆け引きの場であって、国のエゴとエゴのぶつかり合いです。<

そう思います、その一方で

>国際的テロ組織に対抗するには、各国の国際的な協力が必要です。国家の安全保障とは、一国だけで単独できるものではありません。<

ので、「国際的な協力体制」について、日本の国益と言う立場に立って具体的に「もうちとましな国連的組織を」と提案してみた訳なんです。それが真魚さんの仰るところの“もっかのところ存在していない”「その上位概念としての法的権力を持った世界政府なるもの」なんだと思います。

私と真魚さんの主張の違いは、「既にあるハコ内で実質的に討論していくのが重要」(真魚さん)と、「既にあるハコでは討論していくことは出来ない」(私メ)と言う点ではないかと思います(認識違いだったらスイマセン、ご訂正をお願いします)。

…で、やっと議論の新展開なんですが、「既にあるハコ内での実質的な討論」、どうやって行っていけるとお思いですか?日本なんて未だに「敵国条項」該当国なのに。国連なんて加盟国が51しかない時に決まった「常任理事国」なんて設置してい組織だってゆーのに。

↑この点、すごく興味あります、お考えを聞かせていただければ幸いです。

Posted by: kaku | October 06, 2004 at 10:22 AM

<<国連なんて加盟国が51しかない時>>

その数を増やしたこと自体がおかしいのでは? なぜ独裁国家や人権無視が通常の国家が国連で他の国と同様な形で”人権問題委員会”の会長の座についたりできるの?

マイク

Posted by: マイク | October 06, 2004 at 08:37 PM

kakuさん

とてもうまく論点が整理できています。さすがですね。
なるほど、よくわかりました。

では、いきます。

>>私が真魚さんの今回の記事が「ブッシュおよびその取り巻き」の思惑・陰謀により世論を超えて米国を迷走させている、という指摘をなさっている様な印象を受けたからです。<<

これは正しいです。私はそう考えています。ただし、最近、私はなぜこれほどブッシュが米国民にウケるのかを考えなくてはならないと考えています。そうしなければ、今、アメリカで起きている現象は捉えられないと思っています。


>>で、私は「そうではないでしょう、これも米国国民の意思の反映です=デモクラシーです」と言いたかった訳です。<<

いえいえ、それは世の中には「権力は大衆心理を操作する」ということがあることを忘れています。民主主義社会では、権力が大衆の意識を操作し、自分たちの政策があたかも国民の意思の反映であるかのようにすることが可能です。現に歴史上、それは幾度となく繰り返されてきました。今回のイラク戦争もそうだと思います。

kakuさんが書かれているように、ナチスの台頭をもたらしたのは、ドイツ国民の社会心理です。しかし、だからと言って、ドイツ国民の意思の反映がヒトラーであるというわけではありません。ゲッペルスという有能な大衆操作者の存在なくして、ヒトラーの独裁はありませんでした。

>>政党の概念と、デモクラシーという政体の概念を同一レベルで論じ」ても仕方ないのではありませんか、と言っています。<<

いえいえ。政体というのは「理念もしくはイデオロギー+システム」として理解しなければなりません。「政党」や「政体」という概念の正しい理解、言葉の定義はおろそかにしてはいけません。ただまあ、大学の授業じゃないのだから、まっいいか、という気もしますが。いえいえ、いくないです。基礎は大切です。

>>で、実は私も全ての国家が民主主義体制になればこの問題に関しては解決する、と思ってます。今はそれが「押し付け」に見えたとしても、いずれ変わってくるでしょう、「自由の味は一度知ったら止められません」ので。<<

ここはたいへん問題です。結論から言いますと、「全ての国家が民主主義体制」にはなりません。つーか、できません。なぜか。ここで、そもそも「自然権」はイギリスの思想家ジョン・ロックが、という話を書こうかと思いましたがやめます。すっとばします。

つまり、地球上の諸社会には、おのおの固有の文化・文明があり、アメリカ民主主義が導入できるところもあれば、そうでないところもあるということです。いかなる国も、他国の社会制度を強制的に変える権利はありません。それは根本的には、その国の問題です。「自由の味は一度知ったら止められません」という人々もあれば、そうではない人々もいます。例えば、砂漠の民ベドウィンは、「自由」よりも「誇り」を大切にします。「誇り」のためには死をも選ぶという価値観を持っています。経済を見ても、イスラム社会は資本主義とは別の経済システムを持っています。

100年、200年のタイムスパンで見れば、もしかしたら人類のみんなが民主主義体制になるかもしれません。しかし、それはあくまでも100年、200年のタイムスケールを必要とします。ある国が、ある国を10年や20年で無理矢理変えてしまおうというのは間違っています。

Posted by: 真魚 | October 07, 2004 at 02:55 AM

kakuさん、

それでは「国際組織としての国連」について。

真魚:既にあるハコ内で実質的に討論していくのが重要。
kakuさん:既にあるハコでは討論していくことは出来ない。新しいハコを作れ。

という認識で正しいです。

で、

kakuさん質問:
>>「既にあるハコ内での実質的な討論」、どうやって行っていけるとお思いですか?日本なんて未だに「敵国条項」該当国なのに。<<

真魚回答:以下です。

「敵国条項」該当国だから自由に発言ができないということはありません。大体、「敵国条項」があるということ自体、言われなくては気がつかないシロモノです。今の時代、少なくとも国連で、誰が日本やドイツはまた世界に戦争をしかける可能性があると思っているのでしょうか。

「敵国条項」をなくさなくてはならないとか、常任理事国に入らなくてはならないとか言う前に、今のままでも、もっと国連で活動をすることがあるのではないかということです。

イラク戦争の始まる前、国連でアメリカのイラクへの軍事行動について連日討議していました。フランスのミシェル・バルニエ外務大臣が熱心に、いかにアメリカは間違っているかを論じていました。この時、常任理事国でもないメキシコとかカナダとかは、戦争回避のために非公式の代替案を提案してきました。スカンディナビアは、紛争の調停役を請け負ってきました。では、日本はなにをやっていたのでしょうか。僕はこの時期、連日CNNとABC Newsを見ていましたが、"Japan"なんて言葉を一言も聞きませんでした。おそらく、世界の人々で、この討議に注目していた人々のアタマには、日本なる国がこの世にあることすら思っていなかったかもしれません。今の国連で、日本の存在感はありません。

この時の(イラク戦争開戦直前の)国連での討議こそ、後の歴史書に書かれる程のものすごい重要な転換点だったと思います。ここで21世紀前半の国際社会の方向が決まったといってもいいぐらい重要な討議でした。その時、日本はその討議に参加しなかったではないですか。さらに言えば、日本のマスコミは国連でのこの討議をほとんど報道しませんでした。なぜ、これほど重要な討議を日本人は知ろうとしかなかったのか。

日本は国連の分担金の20%、PKOの予算もそのくらい負担しています。しかしながら、実質的に国連の議論に参加しているとは思えません。常任理事国になっていないから、そうなのであって、常任理事国になればもっと発言できる、とはまったく思えません。

国連の熾烈なポリテックスの中で論戦をしていかなくてはならないのです。そのための準備がいります。アメリカやイギリスのように、国際問題を専門に扱う研究所やシンクタンクも必要です。はっきりいって、今の日本で、英米の研究所やシンクタンクと互角にわたりあえるところはひとつもありません。人材の面で言えば、日本人で英米の第一級の論者と互角かそれ以上の議論ができる人は、ただ一人、元マッキンゼーの大前研一さんぐらいしかいません。robitaさんもブログで書かれていましたね。今の日本の大学生は、日本語で中国の大学生と議論しても負けると。こんな状態で、どうして日本人が国際的に発言していくことができるのでしょうか。

もちろん、今の国連というハコには問題があります。新しいハコが必要だと僕も思います。しかしながら、その前に、今のハコでもいいから、日本はやることがあるのではないでしょうか。新しいハコは、それからでも十分間に合います。

Posted by: 真魚 | October 07, 2004 at 03:12 AM

マイクさん&真魚さん、

いやあお二人とお話させて頂けてワタクシとってもラッキーです。自分の主張とその土台を緻密にしてゆける、こういう機会は現実の日本社会で中々ありません。心からお礼を申し上げますm(__)m

まずは国連から。

マイクさん>その数を増やしたこと自体がおかしいのでは? なぜ独裁国家や人権無視が通常の国家が国連で他の国と同様な形で”人権問題委員会”の会長の座についたりできるの?<

ほんとに、ねえ…イラク戦が始まるちと前の人権問題委員会の議長国がキューバだかリビアだかだった時に、イスラエルの首相が「おお、世界と国連は皮肉に満ちている」と発言していましたが、激しく同意。

増やしたこと自体がおかしいのか、リーダーシップと言う一つの才能を持ち回り出来ると考えた平等主義の甘さがいけなかったのか…。

真魚さん>「敵国条項」該当国だから自由に発言ができないということはありません。

>常任理事国になっていないから、そうなのであって、常任理事国になればもっと発言できる、とはまったく思えません。

ハイ、それはまったくもってその通りだと思います。でも伝統的及び一般的な日本人のメンタリティーから考えると、「責任」を持たせることでやっと「義務」として行動する、と言う特色を無視出来ない、と私は考えています。

私もイラク戦開戦直前および直後は米国におりましたので、主要全国紙とFOXやNBC等々、一日中見ておりましたので真魚さんご指摘の当時の"Japan"の存在感がどんなものかはよく覚えています。

私自身のメンタリティーからするとカネを出すこと即ち投資、ゆえに現状のリターンに比して分担金は多すぎると言う考えですが、日本の国連関係者にとっての「リターン」は、「日本の存在感を消す」ことなのではないかとすら思います。つまり、日本自身が「敵国条項」や「常任理事国」を隠れ蓑にして、その義務と責任から逃げている。だからこそ、「平和主義」の名の下に妙にひねくれた反米主義が声高に叫ばれる。まったく平和をなんと心得ているんだろうか、と悲しくなります。

私は日本の事しか考えていない、と批判されればその通りなんですが、日本人が本当に自立する気概があるのならこの「隠れ蓑」を奪い取る事が一番早い道のりだと思っています。

日本人の「和」の心と謙譲の精神は最高の美徳ですが、どうもそれを隠れ蓑にして来たきらいもあります。中国の大学生との議論に負けた様に見えるのは、単に「主張をする」気概負けなんだと思います。本来は主張をし合っていかねば「和」は作れない、その事をどうしたら我々日本人が受け入れられるのか、いつもいつも考えてます。

>そのための準備がいります。アメリカやイギリスのように、国際問題を専門に扱う研究所やシンクタンクも必要です<

これ、まったく同意です。私がずっと主張してきたことでもあります。(日本の)民主党なんて絶対持つべきです。


Posted by: kaku | October 07, 2004 at 09:37 AM

次はデモクラシー普及法について。…って困りましたね、だって、現実として米国は今のところイラクでうまくやれてないですからねえ…以前、TVタックルで大竹まことが「人の心の自由は奪えない!」と言っていましたが、現行の米国式はイラク人をまさしくそんな気分にさせてしまったのでしょうね…それでも、取り敢えず、自分の立場を変えずに議論を以下に展開してみますのでツッコミをお願いします:

>つまり、地球上の諸社会には、おのおの固有の文化・文明があり、アメリカ民主主義が導入できるところもあれば、そうでないところもあるということです。いかなる国も、他国の社会制度を強制的に変える権利はありません。それは根本的には、その国の問題です。「自由の味は一度知ったら止められません」という人々もあれば、そうではない人々もいます。例えば、砂漠の民ベドウィンは、「自由」よりも「誇り」を大切にします。「誇り」のためには死をも選ぶという価値観を持っています。経済を見ても、イスラム社会は資本主義とは別の経済システムを持っています。<

ああ、こういう意見、イラク問題に限らず北朝鮮の金体制に関してもよく耳にするんですが、私いつも「なんと冷たい人たちだ」って思っちゃうんです。

以前、マイクさんと真魚さんに「イスラムと言う思想とデモクラシーシステムは両立出来るのではないか」と質問しましたね。私は、それを目指すのがなんでそんなに嫌なのかしらんと思うんです。

で、その理由を考えるに、まず第一に多くの大衆は「自由の味」を知らぬから。第二に大衆がその味を知ってしまったら困る人々が既得権益層として独占/君臨しているから、ではないかと。

私の知る限り、自由より「誇り」だの「聖戦」だのの死を選んだりさせられているのは圧倒的に貧しい階層の人々です。実際、米英で見かけるイスラム社会からの留学生(殆ど上流階級の子弟)はえらくリッチな生活していますよね、メイドを5人も連れてきたりして。これは南米からの留学生にも見られる現象ですが、自分達だけで「自由の味」を独占している。

ならばここは一度、砂漠の民ベドウィン全員に「自由の味」を味合わせて差し上げてみたらどうでしょうか。それでもやはり誇りを大事にしたいと言うのならどうぞお好きに、と。それがfairnessってもんなのではないでしょうか。

Posted by: kaku | October 07, 2004 at 10:01 AM

<<自由より「誇り」だの「聖戦」だのの死を選んだりさせられているのは圧倒的に貧しい階層の人々です。>>

Keyは"させられている”ですよね。それをリードしている"思想”をもっている指導者は貧しい階層の人ではない。また、貧しい階層が理由ではなく、イスラムの過激的"罰”が課せられ死の選択として自爆に参加させられるってのが多いようで。たまたま死の選択を課せられた人でコントロールできる人は貧しい階層の人なのでは? (パレスチナの自爆者の中にパレスチナ運動のリーダーの子供や親戚ってなぜかいないよね。)

もし、"自由”がイスラムの価値観の中でないのなら、なぜ1000万人以上の人がアフガンでは選挙に登録したのですか?(選挙人口以上の数が登録している事は抜きとして…)予想の700万人を軽く超えて… 立候補している人たちは自分の命が狙われる事を理解して立候補。選挙に向かう人たちは自爆テロの被害にあうかも知れないリスクを負いながら一票を。この光景はアラブのどこでも機会さえあれば見れるでしょうが…

リベラルなエリート達はすでにみんなの為に"無理”、”できない”、"失敗する”を最初から決めてますよね。アフガンなどの場合すごくアフガン的な民主政治の方式に基づいて選挙やその過程が動いているようですね。でもヨーロッパのエリート達はすでにこの選挙のやり方に問題があるから結果は受け入れられないとか。

"自由”ってのは根本的なものなんですよね。過激派はその自由をどう押さえ込もうかと。リベラルなエリート達はその自由をどのようにコントロールして少数のアイディアの中で政治をできるかを。

昔、ヨーロッパやアメリカで"自由”が目覚めたときの環境って今のリベラルから見ると、今のイラクやアフガンと同じ環境ではないかとおもうのですが。

”Liberty Century" この言葉が現実となれば、現代リベラルの人たちは博物館でしか見れない存在になるのでは?

マイク

Posted by: マイク | October 07, 2004 at 01:44 PM

Mike,

>>この光景はアラブのどこでも機会さえあれば見れるでしょうが…<<

Hamid Karzaiは、アメリカの傀儡です。彼はCIAの連絡員であり、ブッシュ・ファミリーとは石油利権でつながっています。今のアフガンの状況は、out of orderです。

Posted by: 真魚 | October 08, 2004 at 01:37 AM

Mike,

Rather than last year, the situation of Iraq is getting worse. I'd like to say again and again "Democracy cannot be imposed from abroad!!"

Posted by: 真魚 | October 08, 2004 at 01:39 AM

Mike,

>>昔、ヨーロッパやアメリカで"自由”が目覚めたときの環境って今のリベラルから見ると、今のイラクやアフガンと同じ環境ではないかとおもうのですが。<<

You say フランス革命やアメリカ革命が、今のイラクやアフガンと同じだと。
Are You Serious???

Posted by: 真魚 | October 08, 2004 at 01:56 AM

kakuさん、

>>私いつも「なんと冷たい人たちだ」って思っちゃうんです。<<

「冷たい」と思われるかも知れませんが、これは過去の教訓から学んだことです。必要以上の介入はすべきではありません。ましてや、武力介入など暴力以外のなにものでもありません。

>>で、その理由を考えるに、まず第一に多くの大衆は「自由の味」を知らぬから。第二に大衆がその味を知ってしまったら困る人々が既得権益層として独占/君臨しているから、ではないかと。<<

実際のところ、アメリカは権力者側を擁護してきました。アメリカは、現地の民衆の民主化のためになることをしてきたわけではありません。むしろ、現地の民主化を妨げることをしてきました。

えーと、ここで、去年、僕がCompuserveの歴史フォーラムで書いたコラムをここにおきます。これはアメリカの歴史家のみなさんからたいへん好評でした。まー、あそこは当然リベラルばかりですが。ちょっとへんな英語表現があるかもしれませんが、そのへんはご容赦ください。これはブッシュがイラクを日本のように民主化させると言ったことに対して、僕が書いたものです。


// Topic:
Iraq was not Japan Msg #238286
From:
Osamu Sonoda 7:11 a.m. on 9-Nov-2003
History forum, Compuserve.

Since the President declared the end of major combat, the U.S. soldier has been killed one after another. I wana ask Mr. President, "How many soldiers die, until you accept your mistake?"

The occupation of Japan began in August 1945. Japan signed the peace treaty in San Francisco in September,1951. The GHQ left Japan on April, 1952. But Some U.S. Forces remained in Misawa, Yokota, Atsugi, Iwakuni, Sasebo, and Okinawa. The occupation lasted more than over 6 years, almost twice as long as the Pacific war itself.

We cannot get the useful model of the Iraq occupation from Japanese occupation. In Japan, at that time. There were no anti-American protests following Japan's defeat. Not a single incident of terrorism or violence against the occupying forces. There was pillage of the military supplies by the senior Japanese bureaucrat and big businessmen until General MacArthur arrives in Atsugi. However, there was no large-scale looting by the public. The black market was a lawless area. However, any yakuza organizations plundered neither a museum nor a library.

Because, Japan has been the society which unified since the 19th century. Japan was the modern state only in Asia, and was democratic society at that time. In fact, What the United States performed was returning Japan to the political structure of the 1930s. The GHQ made the new constitution that established popular sovereignty, relegated the emperor to the status of "symbol" and guaranteed civil right. Japan already had it.

However, democracy is the first experience in their history. There is no it in the history of any Islamic society except Turkey. Iraq has no comparable historical engagement with democracy.

Iraqs say democracy cannot be imposed from abroad. Imagine the colony in North America of 200 years ago. The immigrant from the European Continent lived on rule of British Empire. One day, one foreign country came, and Britain was beaten. Probably, it broadcast the scene on which King George's bronze statue is pushed down, if they had television. So, now, immigrants of North America were able to give democracy. Do they celebrate it?

以上です。主張したいことは、"democracy cannot be imposed from abroad"なんです。

しかしまあ、英語と日本語がチャンポンのブログだこと、ここって・・・・・。(^_^;)

Posted by: 真魚 | October 08, 2004 at 02:02 AM

Of course democracy can not be imposed. In both Iraq and Afghanistan, democracy is being developed based on local participation. They were in a situation where there was no "true" democracy. Of course, Iraq actually can claim to have democracy since everyone voted and 100% voted in the same way. Today they can have a choice of how they want to deploy their political process.

I suggest you read the book that you purchase and understand the difference between "democracy" and "successful political process". When Liberals say they can not impose "democracy", its just saying that without "liberal" intelectual thoughts, you can not have a proper government.

Afghans has been developing their own political process based on their culture. The only difference from the past is that there is someone helping them complete the process. That is not the same as "imposing a government". An "imposed" government is what USSR put in place in Kabul.

今のリベラル人がアメリカ革命を見ることができれば、反対していたでしょう。アメリカの憲法ほど保守的なドキュメントはありませんよね。リベラルな思想にもとづいていないのでリベラルな人はアフガン、イラク、アメリカの民主化には反対するのです。

フランス革命は大賛成では?リベラル的な革命の思想や結果をもたらしたので。

マイク

Posted by: マイク | October 08, 2004 at 02:39 PM

<<"democracy cannot be imposed from abroad">>

No one is imposing democracy in Afghanistan. The people want democracy!! Democracy can not be imposed. Only unjust governments can be imposed. 違いがわかりますか?

http://www.asahi.com/international/update/1009/011.html より・・・

アフガン大統領選、大規模妨害なく投票進む

 アフガニスタンで初めての大統領選は9日、投票が実施された。懸念されたタリバーンによる大規模な妨害はなく、各地の投票所では大勢の有権者が列をつくって投票した。一部の投票所で二重投票防止に使うインクを取り違える不手際が発生し、複数の候補者が連名でボイコット声明を出すなど混乱したが、中央選管は投票の続行を決めた。米が対テロ戦で政権を倒したアフガンの民主的再建の大詰めとなる選挙で、来年1月に国民議会選挙を予定しているイラクの先例となるものだ。 (10/09 21:34)

Posted by: マイク | October 09, 2004 at 09:55 PM

>Because, Japan has been the society which unified since the 19th century. Japan was the modern state only in Asia, and was democratic society at that time. In fact, What the United States performed was returning Japan to the political structure of the 1930s. <


うう~ん、上記の辺り、だいぶ私の歴史認識が異なるんで難しいところです。

私も真魚さんと同じく「日本とイラク統治は異なるぞい」と言う主張を持っていますが、その最大の違いは天皇と言う、いわば「梃子の機能」の存在の有無にある、と思っています。

天皇制を心情的に支持するかどうかは別問題として、日本における天皇と言う存在があったからこそ、日本の政体移行は何とか大きな抵抗が無くして収まったのだと私は思っています。

そしてその「梃子の機能」は、恐らくこれからもわが日本の歴史の一大イベントでちょくちょく顔を出すと確信しています。それだけ、侮れない存在であることは事実です。よく進歩的なつもりで発言している天皇制廃止論の人々がいますが(米国留学時代によく見かけましたこのテの日本人学生…否定するのに忙しかったなぁ)、天皇制を否定するということは、日本と言う国そのものの歴史を根底から否定する事であると分かって言っているのかどうか、その覚悟を果たして持って言っているのだろうかと他人事ながら心配になる私です。

で、その後に“GHQによって持ち込まれた”日本社会がtrue democracyであるかどうかは、もはや戦後60年、日本人の意識の問題だと思います。democracyの形は一つではないからです。大雑把に言ってしまいますが、共通すべき理念はdemos+kratos、それを反映している政治であるかどうかだけだと思います。

なので、その理念を他国に知らしめるもしくは普及する努力を怠るという行動は、「冷たい」を通り越して怠惰であり傲慢でさえある、と私は思っています。なぜか…私はやっぱり、北朝鮮だのサダムフセインだのの体制で生きていくのはお断りだからです。

武力だの暴力介入だのは当然ながら望ましくありませんが、結果だけを意識して考えてみるならば、「自分たちで何とかしろよ」と言う行動は、「自分達の今立っている場所を尊ぶ」事の否定であるとも思います。だから、マイクさんの言う、「テロとの闘いは戦争である」(“イラク”ではありません、くれぐれもお間違えなきよう)と言う主張の意図するところはよく分かります。

・・・しかし、世の中この様な人間ばかりが増えるのは危険です。そういう意味で、お二人の言うところの「リベラル」と言う人たちは、「社会の良心」であり、絶対に必要であるとは思います。…でも、多数派であった欲しくはないと言うのが私のホンネ(^^;)>

Posted by: kaku | October 10, 2004 at 11:57 AM

Democracyは政治的手段(Political Tool)でしかありません。独裁政権、王権など配下に入っている人たちが満足な生活ができれば、その政治に対して人々は不満を持たないと。そして満足な生活ができると。Democracyを使ってもっとも成功していると思われている社会はアメリカの社会です。

リベラルは実際にはDemocracyは望んではいません。複数のエリートが繰り出す判断を認証できるDemocracyが欲しいだけです。その場しのぎそして反保守主義のベースとなる思想が横行する世界がDemocracyと言うツールを使って認証されれば問題がないのです。アメリカでは今、民主党内の地盤が崩れ始めています。なぜなら、下院、上院そして大統領と三つの政治的基盤のコントロールをなくしたためです。今唯一Liberalismがコントロールを望めるの場所は法廷です。でもそれも、20年以内に政治をコントロールする保守が認証しなければならない裁判官が入るため、コントロールを失うでしょう。残る望みは国連、ECなど国境を越えた政治の舞台。民主主義から程遠い存在の政治の場ですね。

アメリカでは将来、Liberalsは大学と言う博物館で見れる標本的存在になるのでは?

マイク

Posted by: マイク | October 10, 2004 at 07:10 PM

>Democracyは政治的手段(Political Tool)でしかありません。独裁政権、王権など配下に入っている人たちが満足な生活ができれば、その政治に対して人々は不満を持たないと。そして満足な生活ができると。<

そうですね、同意です。でも、往々にして独裁政権および王権体制の場合、一人(もしくは一部)の人間の能力に頼り過ぎ、その結果過ちがあったとしても自浄作用が働かずそして修正作用も失われると言う落とし穴による悲劇を人類は経験してきた訳で、そこから生まれたものがdemocracy。私はそう捉えています、米国のfounding fathersもそう言ってますが。だから、私にとって独裁政権等の制度を認めることは、歴史と人類の知恵に背くことに映ります。

>Democracyを使ってもっとも成功していると思われている社会はアメリカの社会です。<

うーん、私はアメリカ人じゃないので、その辺はよく分かりません。アメリカ人の大半が本当にそう思っているのなら、少なくともアメリカ国内に限ってはそうなのかもしれませんけど。

私の周囲のアメリカ人には保守もリベラルもいますが、共に必ずしも今の政治および米国社会に満足している様には見えないけどなあ。やっぱり、所謂ブッシュ政権を支えている軍/産業の大きな影響力には、強い恐怖心と警戒心を持っているような気がする。そこがイマイチ、大統領選の票がハッキリしない原因であり選挙率も伸びない原因ではないかとも。

…ところでマイクさんは、日本に帰化された方ですよね?アメリカと比して日本の政治に対する満足度はどうですか?

Posted by: kaku | October 10, 2004 at 09:59 PM

<<今の政治および米国社会に満足している様には見えない>>

Democracyの中で政治的に社会に満足していたらおかしいのでは?社会は何時も上へ上へと進歩しないと。その進歩の仕方の中にConservatismやLiberalismや失敗・失速したSocialismやCommunismなどの”ism”があるのではないでしょうか?

<<日本の政治に対する満足度>>

日本の政治は昔からの”なんでも反対党”と自民党の二つ。まだ”ism”をベースにした政治を行っていません。でも見ていて民社党にはわらえますよね。もっとも右と左の思想を持ったところがくっついて政党をやってるんですから。

今後は小さな政府を目指す人たちが現れるのを期待しています。

マイク

Posted by: マイク | October 10, 2004 at 10:07 PM

Mike,

もし、アフガニスタンの人々が民主的にアメリカ軍の駐留の禁止を決めたのならば、アメリカは従うのですね。カルザイは、そんなことは言わないから、アメリカは安心だけど。

Posted by: 真魚 | October 11, 2004 at 02:05 AM

>>Afghans has been developing their own political process based on their culture.<<

Let me say this...
The people of Afghanistan are developing a political process on the basis of their own culture under intensive surveillance by the United States. Karzai is a foreign puppet.


リベラルな思想があるかないかではありません。大国の支配があるか、ないかです。

Posted by: 真魚 | October 11, 2004 at 02:08 AM

Mike,

1754年に、ワシントン中佐がオハイオでフランス軍と戦ったことが原因となって起きたイギリスとフランスの戦争は、liberalsは賛成しないと思いますが。

Thomas Paineはconservativeだったと?

フランス革命については、Edmund Burkeが否定的見方をしていますね。今のliberalsはそのことをよく知っていますよ。

Posted by: 真魚 | October 11, 2004 at 02:10 AM

<<大国の支配があるか、ないかです>>
<<フランス軍と戦ったことが原因となって起きたイギリスとフランスの戦争>>

大国の支配下ですよね…

なぜリベラルの方々は中国やソ連の支配下にある国々に対してはサポートを惜しまなかったのでしょうか?ベトナムでは大国の支配下にある南ベトナムは× でも大国の支配下にある北ベトナムは○ エルサルバドルも同じ。なぜチベット、カンボジア、ビルマ、北朝鮮など大国の支配下にある(あった)国々にたいして同等の批判をおこなわないのでしょうか?日本国内でも北方領土と沖縄の扱いを見ればよくわかりますよね。

その上大国の支配下に入っていない国連での賄賂・詐欺事件もリベラルは全く問題にしていない。国連ってリベラルがユートピアとして掲げる政治団体ですよね?

基本的に反大国ではなく、反アメリカだからでしょ?世界で一番保守的で自由な国。これがリベラルのレッテルをつけている人たちから見た時に納得が行かないのですよね。国連もアメリカや日本(大国の支配下同然!)のお金があって初めて動くけどね。

その場その場で都合の良い形で解釈している近代リベラル。これをThomas PaineやEdmund Burkeを都合が良い時に持ち出すのもご立派です。

アフガンで人が数時間も命にかかわる形でDemocracyを実現させても、リベラルの人たちは”大国の配下”などといちゃもんをつけるなどしてアフガンの個人個人が行った偉大な功績を無と評価する。これを私はリベラルの”Moral Bankcruptcy”と名づけています。

マイク

Posted by: マイク | October 11, 2004 at 08:07 AM

kakuさん、

日本の民主主義には天皇制が必要だと考えるのは間違っていると思います。自由民権運動も大正デモクラシーも、天皇制は直接的には関係ありません。福沢諭吉も天皇については書いていなかったと思います。どうでもよかったんじゃないかなあと思います。

半世紀前の敗戦と民主主義国家への移行がさしたる混乱もなくできたのは、天皇の存在があったからというわけではありません。むしろ、あの時代、天皇の存在は平成の今よりもずっとカルかったです(ということが、小熊英二著『民主と愛国』新曜社という本を読むとよくわかります)。天皇なんか知ったこっちゃない。今日いかに食べるものを得るかを考えなくては、というのが敗戦当時の大多数の日本国民の心情でした。

むしろ、天皇の存在を切り離して、天皇のことなんか無視して政治を論じることができる自由がありました。左翼は天皇制廃止を要求していたし、左翼ではない人々も天皇制をなくせとは言いませんでしたが、昭和天皇の責任問題はある、だから退位すべきだと考える人が多かったです。

その昭和天皇を退位させなかったのはGHQです。「それでも天皇個人の意思はあったんだから退位すべきだった、それをしなかった昭和天皇って一体・・・・」という意味のことを歴史家Herbert.Bixは"HIROHITO"の中で書いています。昭和天皇の個人の意思がどうであったにせよ、この時昭和天皇が退位しなかったのは、その後の日本の戦争責任を曖昧にした原因であると僕も思います。(天皇制をなくせとは僕も思いませんが)

イラクに"the Emperor"がいるかいないかは問題ではありません。日本の歴史における天皇の存在は確かに大きいですが、「梃子の機能」というわけではないと思います。このへん、最近亡くなられた網野義彦先生の議論がたいへん参考になります。ここでは話が長くなるので別の機会にしましょう。


>>その理念を他国に知らしめるもしくは普及する努力を怠るという行動は、「冷たい」を通り越して怠惰であり傲慢でさえある、と私は思っています。<<

民主主義を他国に知らしめないわけじゃあありません。その意味では、大いに知らしめているわけで。しかしながら、他国を強制的に変えようという social engineeringは破綻します。不幸なことに、我々の社会科学はそこまで進歩していません。できもしないのに、できるんだと思いこむのは、(思いこむのは勝手ですが)相手から見ればhypocrisyになります。日本だって、満州国経営は失敗しています。

他国への軍事介入とアメリカ主導によるnational buildingはまず成功しません。コストが大きすぎます。ソロバン(なんてものは、もう誰も使っていませんが)勘定にあいません。反米感情が残るだけです。どれだけ援助をしても、コークを飲んでロック音楽を聴きながら(つまり、物質的な価値観はアメリカナイズされている)、アメリカってうざいよな(しかし、無意識的に嫌米感情がある)、じゃ旅客機ハイジャックして自爆テロしてやっかと思われるのがオチです。こちら側では、テロの危険が増すばかりです。コストや安全を度外視しても、アメリカが神から与えられたミッションを果たすというは、責任ある政治の取るべき態度ではありません。無責任になっちゃいます。

Posted by: 真魚 | October 11, 2004 at 05:57 PM

Mike,

北ベトナムがいいとは誰も言っていませんよ。北爆を始めたのは民主党のジョンソンですよ。「大国の支配下」というのではなくて、もっと明確に言えば「ソ連もしくは中国の共産主義の支配下」ということでしょう。しかしそれは共和党も同じなのでは。ニクソンのカンボジア爆撃はポルポト政権への攻撃ではなかったと思いますが。

北方領土は、日本の同意は当然ありませんが、ヤルタ会談で決められたことです。現在はロシア領です。沖縄は1975年に日本領になっています。扱いに違いがあるのは当然です。
国連は露骨な国家エゴの政治の場であると、私は書いていますよ。しかし、国連以外に各国の利害の調整の場はないのではないですか。国際社会は各国の利害の調整の場であるという思考をネオコンはしないのでわからないのかもしれませんが。


>>基本的に反大国ではなく、反アメリカだからでしょ?<<

かつてNoam Chomskyが「なぜアメリカをそれほど批判するのか」と問われた時、「アメリカだから批判するのではありません。たまたま、今現在、世界最強の帝国がアメリカだから批判するのです」と答えています。帝国というのは、どこの国もいつの時代も同じようなことをやっています。イギリスが大英帝国だった時もそう、日本が大日本帝国だった時もそう。アメリカは北米大陸の13植民地だったころは、こんな横暴な国ではなかった。


>>国連もアメリカや日本(大国の支配下同然!)のお金があって初めて動くけどね。

アメリカはお金払っていません。それで国連の言うことは無視すると。
ブッシュは国連の滞納金を払って欲しいですね。
共和党は、国連本部をパリか東京に移したいと思っているんじゃないかな。


>>その場その場で都合の良い形で解釈している

9.11の後、アフガンニスタンのタリバン政権はアルカイダをかくまっていると言って、アフガニスタンを攻撃。その後、フセインは大量破壊兵器を持っている、アルカイダと関連があると言ってイラクを攻撃。そして現在、オサマ・ビンラディンの居場所すらわからず、イラクには大量破壊兵器もアルカイダとの関連もなかったですが。
その場その場で都合の良い形で解釈しているのはどちらでしょうか?


>>これを私はリベラルの”Moral Bankcruptcy”と名づけています。<<

民衆の投票が行われたのを見て、これはアメリカが教えた民主主義の輝ける第一歩であると評価する。これを共和党保守主義者の"hypocrisy"であると私は考えます。

Posted by: 真魚 | October 11, 2004 at 06:01 PM

Mike,

"My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man."

John F. Kennedy Inaugural Address
January 20, 1961

JFK said "together we can do for the freedom of man.", But It seems, today, Republicans say "Only America can do for the freedom of man." If JFK live now, I believe he say "It's an overbearing attitude of isolationism."

Posted by: 真魚 | October 11, 2004 at 06:33 PM

>日本の民主主義には天皇制が必要だと考えるのは間違っていると思います。<

いいえ、「日本の民主主義」に天皇制が「必要」と言ったのではありません。私は単純に「日本の政体移行は常に天皇と言う権威を利用して行われてきた」と言っています。だから「相当私とは歴史認識が違う」と言いました。

慶應義塾生に向けて書かれた『修身要領』前文には、「凡そ日本国に生々する臣民は男女老幼を問はず、万世一系の帝室を奉戴して其の恩徳」云々と言う記述があります。

弟子が編纂したこの文章、当初第一条にあったものを福沢翁は、「当たり前すぎる事であるから前文にせよ」と指示を出したと言われています。しかし、私は福沢翁の実学的な性格・思想からして、天皇を本気で神格視したものではなく、幕藩体制後の日本の近代化への転換をスムーズに行う為に欠くことは出来ない存在と見ていたのだろう、と思います。倒幕は果たされたが、さしたる宗教を持たぬ怠惰な庶民(←福沢一流の毒舌ですが)、これを如何にして近代化へ向けさせるか…その為に福沢翁は何らかの「権威」を欲したのでしょう。そして明治の元勲の多くがそう思った(吉田松陰は違うと思いますが^_^;)

私が天皇を梃子の「機能」と表現したことに注意を払っていただきたいと思います。時間にしてみれば、長い日本の歴史のごくわずかな期間を除き、多くの大衆にとり天皇とは「天皇さん」であり、殆どの人が本気で「現人神」と意識していたわけでは無い事は確かです。だからと言って、国民が「天皇なんかいらない」と軽く思っていたことにはなりません。

学者先生の仰ることはともかくとして、第2次世界大戦を経験した年配の方の声を聞いたことがおありですか?殆どの人は「天皇陛下が悪いのではない、軍の独走が悪かったんだ」と言いますよ。これが彼らの本音はどうかは誰にも知る由はありませんが、むしろそう思いたいのではないか、と思います。

この現代においても、天皇および皇族を大っぴらに批判したり廃止論を主張する(特に外国人に向けて)人間は、左翼的な自虐的史観の擦り込みを強く受けた少数派だけだと思います。私は、正直、そういう人々を見て「軽いなあ、日本社会が嫌いなんだろうなあ」と言う感想を持ちます。

むしろ普通の市民生活においてこの話題は未だに「タブー」でしょう。多くの市民はその繋がりを意識していなくとも、大事なときには神社にお参りに出かけますし、日本の伝統行事の殆どが天皇家と密接に関わっています。日本人の多くは“無意識”にそれを受け入れているのです。“無意識”であること…これはそんじょそこらの信仰に比べるべくもないほど深く根付いていることを意味すると思いますよ。

いずれにしても、多くの国民にとって天皇および天皇制と言うのは、神聖かどうかと言うことではなくて常に「落とし所」である、と言うことです。天皇制の善悪を語る前に、この事実をしっかりと把握出来ていなければ、日本と言う国の「新しい形」の話は始まらない、と言うのが私の考えです。

それが間違いなのか正義なのか不正義なのかは知りませんが、物事には常に「落とし所」=権威、が必要なのだと思います。この辺の人間の機微については、米国人よりもむしろ、一つ一つ王の面子を保ちつつその権力を剥いで行った英国人の方が理解できるのではないかなあ。

Posted by: kaku | October 12, 2004 at 03:07 PM

<<ブッシュは国連の滞納金を払って欲しいですね。>>

ネットでしらべたのですが、1999年(クリントン時代)と2001年(Human Rights Committeがらみ)で滞納金があるとBBC・UN Newswireなどで報道があるのですが、支払いが行われたと書かれてましたよ。滞納金の未払い(私としてはアメリカが支払わずに脱退すればよいと思いますが)は本当でしょうか?

マイク

Posted by: マイク | October 12, 2004 at 04:06 PM

<<これはアメリカが教えた民主主義の輝ける第一歩であると評価する。>>

アメリカが教えた?私そんな事言いましたか?保守の人でそんな事を言った人いますか?

民主主義って教わるものではないですよね。アフガンの人たち1000万人一人一人にアメリカが教えたのですか?

またリベラルな反アメリカの発言ですか?

マイク

Posted by: マイク | October 12, 2004 at 04:09 PM

Mike,

クリントン政権時に約10億ドルを支払ったようです。しかし、まだ全額ではありません。
2003年の青山学院大学の資料に国連分担金未納額がありますよ。
http://home.att.ne.jp/delta/wally/seminar/ pca/fullpaper/3rd/aoyamagakuin-nakamura-seminar-x.pdf

Posted by: 真魚 | October 13, 2004 at 03:37 AM

この2003年の青山大学の資料ってどの年度がベースか書いてないじゃないですか? すなわち2001年に滞納金を払ったけど一部は保留となった支払いの情報って可能性じゃないですか?

もしアメリカが払っていないと言うのならちゃんとした証拠を提示してくださいね。何時もリベラルの人が提示する証拠とか根拠を見に行くとちゃんとした情報源じゃなかったり古い情報だったり…なぜ自分の主張を根拠に基づいてできないのか… マイク ムアーと一緒にされちゃいますよ。

でもなんでみんな税金を詐欺や収賄を10年以上もイラクで行ってきた団体に払っても文句いわないのかな?なぜリベラルはイラクの赤ちゃんのミルクとなるお金がフランス、ロシア、中国の外交官のふところを肥やすお金になったことについて何も言わないのかな?

自民党のリーダーに1億円ぽっちで慌てふためいて、何千憶ものお金でなんにもいわないんでもんね。

マイク

マイク

Posted by: マイク | October 13, 2004 at 09:50 PM

kakuさん、

「日本の政体移行は常に天皇と言う権威を利用して行われてきた」と言っても、天皇の影響の度合いは、その対象となる「時代」と「場所」と「人々」に大きく左右されます。過去、約1千年間、庶民のみなさんが「天子様」と親しみを持ってきたのは、京都とその周辺ぐらいです。その他の地域では、明治に至るまでは天皇の存在はそれほど大きくありません。

明治になってからでも、例えば薩摩人は、天皇なんてどうでもいいというところがありました。明治政府の参議であった西郷隆盛が鹿児島へ帰った時、天皇の親衛隊である近衛兵の大部分もまた(彼らも薩摩人なので)鹿児島へ西郷と一緒に帰りました。彼らは、後の明治10年に西南戦争を起こします。この時代、軍人でさえも、天皇を「お上」と呼んでかしこまるという意識はまったくありませんでした。そこで、西南戦争以後、軍人に天皇を敬うことを教育するために、明治政府は軍人勅諭を作りました。

2千年前に、近畿地方の三輪山のふもとの大和盆地で天皇制というものが始まり、以後、日本全国津々浦々、天皇制で日本社会は画一的に統合されてきたわけではありません。日本の歴史というのは、もっと多様で多重構想をしています。京都には天皇がいたわけですけど、遠く離れた東北や北海道には別の文化圏があって、そこでは独自に大陸と貿易をやって栄えていたというのは、最近の研究でどんどん明らかになっています。日本という国は、大体13世紀までは、西日本と東日本は別の国と言ってもいいほど文化的に異なっています。

それに、日本人なら天皇を崇めなくてはならないのならば、アイヌ人や琉球人といった少数民族はどうしたらいいのでしょう。在日中国人・朝鮮人はどうしたらいいのでしょう。彼らは「日本人」ではないのでしょうか。

もっと「日本」というものを、広い視野で捉えなくてはいけません。「「落とし所」=権威」と言っても、「権威」というのは、それが「権威」であると認める価値体系を、こちら側と相手側の双方で共有していなければ「権威」は成り立ちません。ところが、その価値体系すら共有していない「異質な文化圏」が、古来、この日本列島の上にはいくつもあって、それらが多重に積み重なって、(結果的にトータルに見れば)今日の「日本」という社会を歴史的に構成しているのです。

さらに言えば、この日本列島の上で生活をしてきた人々の歴史は、2千年前に、近畿地方の三輪山のふもとの大和盆地(くどいか)(^_^;)の大和朝廷や、そのずっと前の邪馬台国よりはるかにもっと、ずーーーーーと前、数百万年のオーダーで縄文時代がありました。彼らもまた「日本人」です。縄文文化は、日本文化に深い影響を与えています。で、もーーーーとさか登ると、そもそも、シベリアに住んでいたモンゴロイドの一派が、当時地続きだった日本海を渡って、この大地にやってきました。モンゴロイドのもう一派は、これも当時地続きだったベーリング海峡を渡って、北アメリカ大陸や南アメリカ大陸へ行きました。さらに、もう一派は、太平洋のミクロネシアやメラネシアやポリネシアへ行きました(そして、彼らの一部がまた日本列島にやってくるわけですが)。そう考えてみると、日本人とカナダのエスキモーや北アメリカのネイティブ・アメリカンやミクロネシアやメラネシアの民族とは「兄弟」であり「家族」なんです(「アジア人」であるというよりも、「モンゴロイドの兄弟」とでも言いましょうか)。実際、アイヌの文化とエスキモーやネイティブ・アメリカンの文化には、数多くの共通点があることが知られていますね。

僕はこうしたスケールで「日本」というものを考えることが、新しい日本のナショナル・アイデンティティを考える上で必要だと思っています。そうでなければ、いつまでも、戦前の皇国史観や国体論のままです。

もちろん、何度も言いますが、だからといって、今の天皇をないがしろにしたり、天皇制を廃止せよとは思いませんよ。

Posted by: 真魚 | October 14, 2004 at 02:06 AM

Mike,

Oil-for-Food Programmeについては、日本でもNHKが特集番組で報道していましたよ。なにもアメリカだけが悪いと報道はしていません。イギリスのDaily Telegraph紙に興味深い記事があります。
http://www.telegraph.co.uk/opinion/main.jhtml?xml=/opinion/2004/09/19/do1902.xml&sSheet=/opinion/2004/09/19/ixopinion.html

ただこれはねえ、国連やフランスだけではなくどこもやっているような気がしますが。
商社とか企業のよく使う手ですし。もちろん、良い行為とは言えませんが。

Posted by: 真魚 | October 14, 2004 at 02:43 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36163/1587392

Listed below are links to weblogs that reference 第1回大統領選ディベートを見て、ブッシュは阪神だと思った:

» アメリカ大統領選に口を出せ! [愛欲の解毒場]
インターネット上でアメリカ大統領選に対して意志を表示が出来る。 アメリカの国籍がなくても、英語が読めなくても可能だ。 ちょっとココは投票するしかないべ! ちゃ... [Read More]

Tracked on October 11, 2004 at 02:42 AM

« スパムコメントに遭遇する | Main | ジャック・デリダ亡くなる »