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September 01, 2004

新書マップはおもしろい

 新書マップという新書本専門の検索システムがある。いくつかのプログですでに取り上げられていて好評のようだ。さっそく僕も使ってみた。キーワードか文章を入力して検索実行するだけで、そのキーワードや文章に関連する分野が円形のサークルに現れる。

 例えば、ためしに「帝国海軍」とキーワードを入れて検索をしてみた。

 すると、円形のサークルの内側に関連するヒットした分野として次の10の分野が現れた。「帝国海軍」「海軍と海戦」「自衛隊」「アメリカの軍隊」「航海と移動」「太平洋戦史」「軍需産業」「太平洋戦争を知る」「近代日本の戦争」「幕末・維新の長崎」

 おのおのの項目は、確かに帝国海軍を理解する上で欠かせない項目であろう。つまり、ひとつの分野だけではなく、それに関連した数多くの分野を検索システムがビジュアルに表示してくれるのである。

 さらに、その円の外側には、内部の関連項目よりももっと範囲が広い関連カテゴリーが表示されている。例えば、「戦争」「国家」「アメリカ」「戦略」というようにだ。

 これらの円の外側のカテゴリーは、円の内部の関連項目に対応していて、例えば円の外側の「国家」にマウスのポインターを合わせると、「国家」というカテゴリーに属する円の内部のおのおのの関連項目の大きさが大きくなる。「国家」だと、円の内部の「軍需産業」と「海軍と海戦」以外は全部反応した。

 「海軍と海戦」は、まあ「国家」というカテゴリーにカテゴライズしないということはわかるけど、しかし「軍需産業」は「国家」というカテゴリーに当てはまるような気がしないでもない。まあ、民間企業は「国家」にはならないというのならば確かにそうだなとも思う。ようするに、カテゴライズされているのはいいが、何を基準としてカテゴライズされているのかよくわからないのだ。本の中身を人工知能が解釈して分類しているわけではないため、人間の知識と解釈に基づく分類とは多少のズレが生じる。しかし、まあ、そう深く考えることもないだろう。こうした検索に必要なのは、検索に漏れがないということで、検索結果が若干増えるということはそれほど問題ではない。

 では、次に円の内部の「自衛隊」をクリックしてみよう。すると別のフレームが立ち上がり、そこに新書本での自衛隊関連本のリストが表示される。しかもだ。リストだけではなく、うれしいのはなんと、リストアップされた本の背表紙が並んだイメージも表示されるのである。つまり、ちょうど本棚の棚の本を見ているようなイメージなのだ。さらに、このイメージの拡大もできて、それをクリックすると、実物大の新書本の背表紙が表示されるのである。棚に並んでいる本の背表紙を眺めるというのは、結構、読書人が本屋の中を歩く楽しみであるわけだが、この検索システムはそうした読書人の心をときめかすようなエモーショナルな側面もしっかりフォローするインターフェースになっているのである。

 これはすごくいい。ただ文章で本の題名のリストが並んでいるだけではなく、こうやって実際の本屋さんの本棚のように背表紙が並んだ姿で表示されると、なんかもー、もしここに「ショッピングカートにいれる」とか「1-Clickで今すぐ買う」とかいったボタンがあったら思わずポチッと押してしまうような気がする。この検索システムとアマゾン・コムやbk1が連携したら最強のオンライン書店が出現するだろう。

 ようするに、この新書マップとは、キーワードや文章を完全一致や前方・後方一致だけではなく、概念で検索してくれて、関連分野も教えてくれて、かつ、ヒット結果の本を(まるで本屋さんの本棚のように)背表紙の並びで見せてくれるという感動もんの検索システムなのだ。従来の本の検索システムは、ある特定の本の題名や著者でピンポイント的な検索をしなくてはならなかった。もちろん、例えばアマゾン・コムにはトピック検索というのがあるけど、あまり使いもんにならない。つまり、本の販売・流通サイトの検索システムは、あくまでも購入すべき本や著者名や出版社がわかっているということが前提なのだ。これに対して、この新書マップは、知りたい分野はわかっているのだけれど、購入すべき本や著者がなんであるのかわからないというとこから出発する検索システムなのだと言えるだろう。実際、こうした概念検索や関連検索システムは他の業界ではすでにあるが、本の検索システムにはこうしたものはなかった。本来、本の検索に求められる機能がようやく実現したと言えるだろう。画期的と言っていい。

 だだまあ。なんつーか。上でのべたカテゴライズのズレだけど。キーワードを「司馬遼太郎」と入れて検索したんだけど、結果の関連分野に「プレゼンテーション」とか「新聞の読み方と記事」というのが出るのはまあわかる。司馬さんは若い頃新聞記者だったしな。しかしながら、「アングラ」というのが出るのがどう考えても解せない。この「アングラ」を選択すると、『やくざ映画とその時代』とか『日本の異端文学』といった本が出てくる。うーむ、司馬さんとアングラっていってもなあ。やくざ映画とか異端文学とかいってもなあ。うーむ。異端だったのかなあ。いや、異端といえば異端だったんだけどなあ。何度も書くが、機械が本の中身を理解して解釈しているわけではない。だから、うーんと唸ざる得ない結果が帰ってくることがある。

 しかしこれもまあ、検索の意外な結果から意外な発見があるかもしれない、と考えると確かにそうで。はっ、もしかしたら、この新書マップのシステム・アーキテクチャーには、そうしたランダム性やゆらぎ性やリダンダンシーも含めて設計されているのかもしれない。うーん、なんてヒューマンな設計なのだろう。「司馬遼太郎の坂の上の雲」という文章で検索したら、関連項目に「天気」が出たのは笑ったが、これだって、秋山真之のあの「天気晴朗なれど」の電文に関連するじゃないか。すごい。おそるべし、新書マップ!!(まー、この新書マップはまだできたばっかりだそうなので、今後検索精度は向上していくものと思われる。)

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