« マナーとしての反日を身につけて欲しい | Main | 今週のTIMEとNewsweekその2 »

August 11, 2004

『ディ・アフター・トゥモロー』を見ました

 少し前に公開された映画『ディ・アフター・トゥモロー』を見た。映画館で予告編を見て、これっておもしろいかもと思ったのだが、だからといって格別に見る気にもならず、公開されても見に行くことはなかった。しかし、まだ公開していたんですね。もう終わったのかと思っていた。

 なぜ、それほど見る気にならなかったのか。以前、『コア』という映画を見て、そのあまりにも非科学的な内容になんか打ちのめされた気分になってしまって、以来この手の映画は避けようと思ったからだ。『コア』は悪い映画ではないのだが、やはりどーもあのマントルを人工的にどうこうしようというのは、もはや地球つーもんをバカにしているとしか言いようがないではないか。大体、アース・サイエンスというものはもっと地味なもんだ。

 僕は、地球の自然を相手にしたアース・サイエンスにすごく興味がある。NYで一番幸福感につつまれる場所は自然史博物館だし、もしもう一度人生をやりなおせるのならば、今度こそアメリカで気象学か古生物学で学位を取ろうと思っている。今でこそ私は、社会学だ歴史学だ民俗学だ宗教学だとか言っているが、心のどこかではそうした人間の作った歴史や文物を相手にするよりも、人がいない自然を相手にした人生を送りたいという気持ちがある。空や風や大地や海を見ながら(実際は数値化されたデータを見るわけであるが)日々を送れたら、どんなにいいだろう。実際のところ、インターネットで、アメリカの大学の通信教育で気象学を学ぶことができるのでぜひとも学びたいと思っている。

 さて、『コア』は、これはちょっと問題アリだろうという内容だった。映画なんだからいいだろうと言うかもしれないが、それでも許容できる範囲つーもんがある。ただし、この許容範囲は一定しておらず、作品のストーリィによって変わる。例えば、同じジャンルの作品で『ツイスター』とか『ボルケーノ』とかは、うーんこういうのあってもいいかなという内容であった、映画なんだし。細かいこと言わなくていいじゃん。

 しかし、である。映画であったとしても、『コア』は簡単にうなずける程度の内容ではなかった。このへん、私の中にアース・サイエンスはかくあるべきというモノがあって、それが、こーゆー映画もオッケーとは言わせないんですね。まっ『コア』って、悪い作品じゃなかったんだけど。

 で、それでは『ディ・アフター・トゥモロー』はどうか。見る前は、どーせ『コア』みたいな、およそあり得ない設定なんだろ、と思っていた。それでもとにかく、LAが巨大竜巻によって崩壊する光景や、NYが氷原になる光景などは、この映画なくては見れないだろう。これはDVDで見るよりも映画館の巨大スクリーンで見たい。というわけで見に行ったのだ。

 見てみると、期待通りの「映画でなくては見れない」映像シーンが満載でこれはおもしろかった。こうした自然現象をCGで描く場合、例えば、当然のことながら、雲なら雲が実際の自然現象における雲の動きのように描かなくてはならない。このプログラムは、そう簡単にできるものではない。このノウハウだけで十分ビジネスになる。気象現象をシュミレートするCGは、研究機関よりもハリウッドの方が進んでいるのはないか。この監督は『ID4』でも『GODZILLA』でも、とにかくたくさんの名もなき人々が出てきて、とにかくたくさんの名もなき人々がどんどん死んでいく。この作品でも、自然の猛威の前になすすべもなく死んでいく人間たちの姿を淡々と映す。

 科学的内容どうだったのかというと、そりゃあまあ映画なんだから細かいことは言わないもんだということにして(『コア』の時と違う!)。東京のシーンも、ハリウッドの日本理解なんてこんなもんであることは、もう永久に変わらないんだなというわけで。実は、この作品は自然災害ものというよりも、政治映画なんだなということに見ていて気がついた。

 まず、最初のシーンで、地球温暖化による気温の低下(ここの論理が科学的に正しいのかという気がしないでもないけど、まっ映画なんだからいいじゃないか)を危惧する主人公の気象学者に向かって、経済的観点から温暖化防止なんてできないと主張するアメリカの副大統領の顔がチェイニー副大統領になんとなく似ている。

 でまあ、このチェイニー副大統領、じゃなかったベッカーという名前の副大統領は、この後も主人公の指摘をことごとく無視し、学者の意見など聞いてはおられんというような態度しまくりなのだ。で、大統領の方はなんとなくアルバート・ゴアが歳をとったらこういう顔になるのではないかという顔の人で、こっちの人はそれなりに話しが通る。結局、政府の対策の遅れによりアメリカ合衆国の北部の人々はもはや助からない状況となる。南部のアメリカ人は難民となってメキシコ国境を越えようとするが、メキシコ側は国境を閉鎖する。そこでアメリカ「難民」たちは、違法にリオ・グランデ河を超えてメキシコへ流入しようとする。このへん、現実の姿と逆だ。アメリカだって自分が困ればこういうことするじゃないかと言っているようでおもしろい。最後は、急死した大統領に代わって大統領になった(チェイニーによく似た)ベッカー副大統領が、途上国に対していかにアメリカが今まで傲岸だったかと改心するシーンで終わる。

 監督のエメリッヒは、とにかく今の共和党政権がキライなんだろう。そりゃそうだよなあ。

|

« マナーとしての反日を身につけて欲しい | Main | 今週のTIMEとNewsweekその2 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36163/1168744

Listed below are links to weblogs that reference 『ディ・アフター・トゥモロー』を見ました:

« マナーとしての反日を身につけて欲しい | Main | 今週のTIMEとNewsweekその2 »