昭和30年代の子供たちの方が荒れていた
少年犯罪は、年々増加の一途をたどっているかのように思われている。最近の長崎のカッターナイフ殺人事件など、その少年犯罪(つか、女の子だったけど)が行き着くところまで来てしまったかのような感じであった。しかし、では、果たして本当に、今の時代は子供による凶悪犯罪が日々増加しているのであろうか。
実際のところ、昭和20年から現在までの少年による殺人・強盗・強姦・放火の発生件数を見てみると、実は最も少年犯罪が多かったのは、現代ではなく昭和30年代である。最高に件数が多いのは昭和35年である。これ、たいへん重要なことなのでしっかりと知って欲しい。今後、テレビとかで、最近の少年犯罪は増加する一方でとか言う人がいたら、「昭和35年の方が多かった」と内心思うようにしよう。確かに平成2年以後から今日までを言うのならば、少年犯罪は増加している。それは事実だ。しかし、そのぐらいの年数で「今の子供は」と言うのは、それこそ今の子供に対してフェアではないであろう。昭和30年代の子供ときちんと比較して欲しい。
言うまでもなく昭和30年代には、ゲームもインターネットもなかった。さらに言えば、ヘアヌード写真集もアダルトビデオもなかった。有害(と呼ばれる)コミックもなかった。それでも少年たちは犯罪に走ったことを私は声を大にして言いたい。
昭和35年というと1960年だ。この年に少年だった世代といえば、なにをかくそう(いや、かくす必要はないけど)団塊の世代である。なんと、この世代は少年だった頃から世間を騒がしていたのだ。僕は常々思うのだが、やはりこの世代というのは、戦後の日本にとってものすごく迷惑な連中だったのではないかと思う。彼らは、そのへんをきちんと客観視することなく、今の子供は命を大切にしないとか、今のワカイモンはしんぼうが足らんとか言っているように思う。あんたらは今のワカイモンはキレやすいと言うけど、あんたらの子供の時や若い時の方がもっとキレやすかったではないか。戦後日本で、一番荒れてすさんでいたのは、今の時代の子供たちではなく、昭和30年代の子供たちだったのだ。
もちろん、だからといって今の子供たちはなんの問題もない、平穏無事で楽しい毎日を送っていると言っているわけではない。しかし、多かれ少なかれ、少年時代なり青年時代には心の闇のようなものを抱えている。そんなもん、ひとかけらも抱えることなく少年時代を過ごしましたという人もいるだろうけど。(女性も含めて)少年や青年が心の闇を抱えることは、いつの時代も同じことだ。
ところが、現代は、異常に肥大したマスコミがそれらを増幅して社会に流し、社会の側もまた、たいへんな事態になったと騒ぎまくる。その騒ぎが、また子供たちを刺激することになる、という悪循環になっている。マスコミの商売とは、社会不安を煽ることである。昭和30年代は、日本は高度成長の真っ盛りの時代だった。少年の犯罪件数が最多である一方で、日本人全体が豊かな明日を目指してプロジェクトXに躍進していた時代だった。子供の犯罪なんかに、かまってられっかという雰囲気だったのだろう。それでも、世の中はなんとかなった、と言えば確かになんとかなった。
ということを頭の片隅に置いておきながら、少年犯罪のニュースに接するのがいい。
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