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July 09, 2004

『プラネテス』を読むとトンカツが食べたくなる

 先日、ここで『プラネテス』はいいと書いた。あの時見たのはアニメの方だった。で、あれから数日、原作のマンガもすべて読了し、公式ガイドブックも読んで、音楽DCも「O.S.T.」の「1」も「2」も、そしてドラマCDも買った。で、そーだったのかと思ったわけである。

 これアニメ版と原作マンガがかなり違う。タナベやフィーさんのキャラがちがーう。まー、違うというのは当然なのかもしれないけど。アニメ版は、アニメ版としていい作品になっているとは思う。原作マンガはかなり奥が深い。かなりストレートに、人間のレゾンデートル(存在意義)を宇宙の中で問いかける話になっている。

 僕は、基本的に人類は、地球の環境でなくては肉体的にも精神的に生きられないと思う。だから、なにを好きこのんで月や火星や木星に行く必要があるのか。地球上には、まだまだ謎の部分があるではないかと思う。ただまあ、だからといって、人間は宇宙に行かないなんてことはしないだろうなと思う。それでも宇宙に行きたいというヤツは出てくるわけで、それはそれでアリだなと思う。

 昔、ワシントンDCの国立航空宇宙博物館へ行った時、アイマックスシアターで『Blue planet』という記録映画を見たことがある。巨大スクリーンに、スペースシャトルが撮影した地球の風景を見て不思議な感覚になった。中央アジアの地形が映った時、僕はその頃、よく外国を一人旅していて、このアメリカ旅行の前も中央アジアを旅してきたところだった。すると、僕がクソ重い荷物を背中にしょって、ヒーコラいいながら地べたをはいずりまわっていた、その地べたが、スクリーンを通して眼下に広がっているのだ。おーい、ありゃ俺がこの前歩きまわったところじゃないか。この時『Blue planet』を見ながら僕が思ったことは、俺は一体、あの地面の上で何をしていたのかということだ。と同時に、ハラをへらして、きたねえボロボロのカッコでデカイ荷物を持って、本当もう死ぬような緊張感しまくりだった、あの日々がものすごく大切でいとおしくなった。自分はいい体験をしたなと思った。しかし、その「いい体験」も、宇宙から見れば、たんなるのっぺりとした惑星の表面のほんの小さな点みたいなところで、右往左往していただけなんだ。なんとまあ、自分の生などくだらない、ささやかなもんだ。そんなことを考えていると、僕はアイマックスシアターの暗闇の中で泣いてしまった。わざわざアメリカのワシントンDCの国立航空宇宙博物館にやってきて、そのアイマックスシアターで泣いている自分を見るもうひとりの自分がいて、おいおいなにやってんだと、そのもう一人の僕が思うのだ。

 幸村誠の『プラネテス』を読んで、あの時の自分を思い出した。この作品は、衛星軌道上から見た地球の姿がすごくリアルで美しい。この美しい地球を見下ろして、なにをやっているのかというと、デブリと呼ばれるゴミ拾いをやっていることがまたいい。

 ユーリーが若いとき世界を旅してして、北米のネイティブアメリカンの老人に言われた「ここも宇宙なんだよ」という言葉にうなずけるし、ハチマキとタナベの父親と母親もいい親だ。この親ありてこの子だと思う。ハチマキの弟の九太郎君もいい。

 『プラネテス』を読むと、なんかむしょうにトンカツが食べたくなったので、どおーんとトンカツ2枚とキャベツ山盛りとしじみのお味噌汁を食べた。そーか、帰る場所かあ、とか思いながらガツガツ食べた。

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