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July 02, 2004

フセイン裁判は東京裁判になるか

 イラクの元大統領サダム・フセインを裁く特別法廷での司法手続きが始まったという。この、わざわざ裁判をやろうというところに、自分たちのやったことは法的に見ても正義だったと世界に主張したいアメリカの意思が感じられる。この裁判の争点は、もちろんサダム・フセインの悪行を裁くというものなのだろうけど。イラク戦争そのものの是非や、アメリカの攻撃により厖大な数のイラク民衆が殺されたことはどうなるのだろうか。これらは十分に裁判の論点になりうる。

 半世紀前の東京裁判では、ファーネスとブレークニというアメリカ人弁護士が、連合国の一方的な裁きがいかに間違っているかということについて法廷で優れた論議を提起した。このことは、最近の本では、牛村圭『「勝者の裁き」に向きあってー東京裁判をよみなおす』ちくま親書(2004)にくわしい。フセインは判事に向かって「すべて茶番劇だ」と言ったそうであるが、この裁判が茶番劇だということは、フセインだけではなく、60年前の極東の日本という国の東京で行われた極東国際軍事裁判の被告席にいた誰もが内心思っていたことであろう。

 再び、アメリカは戦争を裁判で裁こうとしている。それが、そもそも可能なのかどうか。少なくとも、アメリカは東京裁判についてはなにも感じていないということなのだろう。アメリカの知識人で東京裁判について、果たしてあれがまっとうな裁判だったのかどうか、きちんと論じた人を僕は見たことがないし、そうした本を読んだこともない。アメリカの歴史学会も近現代史については歯切れが悪いように思えるのだが。

 今回のフセイン裁判にアメリカ人弁護士がつくだろうか。ついた場合、どのような弁護になるのか。たいへん興味がある。

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