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June 01, 2004

近藤ようこの『水鏡綺譚』を読む

 先日の日曜日、神田神保町の高岡書店へぶらりと入ると、近藤ようこの『水鏡綺譚』完結版があった。この人は中世の物語譚をよく書いている人で、以前『説教小栗判官』と『瓢かわいや』という作品を読んだことがある。この人は、國學院大学で民俗学を学んでいる。そのためか、中世の風俗の考証がしっかりしていて、あの時代の雰囲気がよく出ている。

 作者は、この作品が一番好きだと「あとがき」で書いている。

 この物語は、「立派な人間になるんだ」と修験道の修行の旅に出たワタルは、野盗に襲われた村の娘たちを助け、その中のどこから掠われてきたかわからない娘、鏡子の家を探しに一緒に旅を続ける話である。旅の中で、2人はさまざまな人、霊魂、妖魔と出会う。人と自然と霊界の中で、ひたむきに生きていこうとする少年ワタルと、天然ボケの美少女鏡子の「ろーど・すとーりぃ」である。

 鏡子の長くて濃い黒髪がいい。
 自分で自分の人生を開いていく小萩さんもいい。

 第十二話「空ゆく雲」は、わずか11ページである。セリフもなく、淡々とした風景描写が続くだけであるが、どれだけ多くのことを表現していることか。見事といっていい。

 この物語の最後で、2人の旅は終わることになるが、僕は終わったのではなく、まだ続いていると思う。この2人は一緒でなくても、おのおの心の中で一緒に旅をしているのだ。再びまた出会う日があったと思う。そして、2人で幸福な人生を過ごしたのではないだろうか。

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